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疾病の発展と転帰

『傷寒論』185条の「本と太陽,初め病を得た時に,其の汗を発し,汗先ず出でて徹せず,因りて陽明に転属するなり。」の意味を、多くの教科書では「発汗の量が少ない」から陽明に転属したと解釈しているが、張国駿先生は異論を述べておられます。
すなわち疾病には「発展の趨勢」というものがあり、「転帰まで予見することが重要である」。発汗が足りなかったのではなく、“余勢”があったので陽明に転属した、という事です。

~引用~
2.「汗先出不徹,因転属陽明」にみられる診断上の智恵
天津中医薬大学中医学院傷寒教研室 張国駿

太陽が初めて病を得たとき,太陽では「顕性感邪」であるため症状が現れるが,少陽と陽明では「隠性感邪」であるため症状がまだ現れていない。
邪気が進展すると陽明へと向かうが,まだ陽明と少陽の症状が現れないのは,侵入した邪気が発病「閾値」に達していないからである。
太陽と少陽の邪が内に向かい侵入するという動きが進展すると,発汗しても邪気が深く入ることを止められず,陽明まで深く入っていき,陽明病の発病「閾値」に達すると,発症して陽明病となり,「転属陽明」となる。
以上は,診断に際しては,現在の症状を観察するだけでなく,疾病の発展の趨勢を把握し,転帰まで予見することが重要であることを示している。
動的な診断思考を行うことによって,疾病の発展の趨勢を掌握し,合理的な治療方法を確立し,臨機応変に処方を加減して臨床効果を高めるのである。

一例:ある学生が,太陽傷寒になって1日目,自ら桂枝麻黄各半湯 2服を飲んで,身体痛・悪寒発熱などの症状は消えたが,ロ渴して水を多く飲み,体は熱く汗が多く,大便もまだなかったため,自己治療を諦めて治療を求めてきた。
筆者は,これは陽明に転属し,陽明熱盛・津気両傷したと診断して, 白虎湯加人参湯加味(玄参・石斛・天花粉・沙参・芦根などを加える)を処方した。
学生が自分の弁証用薬は間違っていたのかと質問してきたが,間違ってはいなかったと返事した。ではなぜ完治できずさらにひどくなったのかとさらに質問してきた。筆者は,これが『傷寒論』185条の「汗先出不徹」であると答えた。
 『中医臨床』v40-2 より

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