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随証治療も良し

日本漢方の特徴は随証治療(方証相対)であり、中医学は弁証論治である。次の例から解説の部分を取り去れば日本の随証治療そのものである。
論拠さえシッカリしていればどちらでもいいのだが、随証治療は結論を急ぐ傾向があるのではないかという気がする。
思考回路を言葉で表現するのが中医学のいいところ。

《傷寒論》の六経証候には,"主証"、"兼証"、"変証"がある。
たとえば桂枝湯証を例にすれば,主証は頭痛、発熱、汗出、悪風、脈浮緩である。
兼証は或いは喘,或いは項背強几几等である。
また"変証"とは,誤治した后の"壊証"である。
以上の三類の証候は,孤立して症状があるのではなく,内的聯系があり,辨証の特徴を示している。
だから証候に依りて辨証に依らないという事もある。
証候に熟練すれば,素早く反応でき,治療効率も高くできる。
次の例でそれを実証しよう:

案1:明朝の李念莪は,六七日大便が出ず,頭痛・身熱のある患者を治した事がある。
切脈すると浮,小便の色を問うと清で黄色ではない。
李は太陽表邪不解と辨じて,桂枝湯を用いて発汗させて治した。
一医は解せずと問いて曰く:なぜ六、七日も大便が出ていないのに,桂枝湯を用いて発汗させたのか?
李曰く:《傷寒論》に説く:"傷寒にかかり大便が六七日出ていなくて,頭痛して熱があり,小便が清長だと,邪が裏には無くて,まだ表に在ると分かる。だから当に発汗すべきで,桂枝湯が宜しい。"
今は病んでから大便が出ていなくて,脈が浮で尿が清澄である,故に病は陽明には無く,いまだに太陽に在る。(《医宗必読》)

案2:陳慎吾老大夫は,生前に一女児を治した事がある。
五六日発熱が退かず,服薬したけれど無効だった。
陳老が診脈した時,患児のこいた矢気(屁)がひどく臭かった。
それで母に問うと,大便が数日出ていないという。
陳老曰く:《傷寒論》に云わく:"矢気を転出する者は,燥屎があるものだ。"
まして脈が滑で、舌紅きは皆燥屎のせいだ,そこで承気湯を投じたところ,大便が瀉下して愈えた。

案3:李某,女,38歳。
長期におよぶ嘔吐と,微熱を兼ねており,百余剤を服薬したが無効,舌苔が白滑。
時に進修医生の陳君が側に在り,問うて曰く:此れは何証ですか?
余曰く:"嘔して発熱すれば,小柴胡湯が之を主る"。
果して三剤を服するや吐は止まり熱は退いた。
 劉渡舟『医論医話100則』より

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