少陰熱化証3
二、陰虚挾水証
案三:北京郊区 郭姓患者,男,52歳。
心下発満を患い,頭目時に眩暈を発し,夜晩口中非常に干渇し,且つ心煩して少寐。
脈は弦細,舌は紅,舌苔は水滑滴らんと欲す。
其の所服の方を観れば,滋陰潜陽・和胃疏肝あり,さらに補心安神の薬まであり,皆無効なりし。
脈弦で水苔なら,水証の徴候である。そこで小便は如何と問えば、
答:黄色で出にくく,残尿となる。
此れは蓄水証で,猪苓湯の証です。
猪苓湯の証機とは,陰虚生熱で,熱と水が凝集して津液が化生しません,そのために口中干渇して咳も出るのです;水汎が上に及ぶと頭目眩暈となり;中脘に留ると心下痞となり嘔き気を催し;下で水結すれば小便不利で尿少となる。
此の証は陰虚有熱なる故に舌紅く脈細で,心煩して不寐となります。
治療には育陰・清熱・利水が必要です。
猪苓湯:猪苓・茯苓12 沢瀉10 滑石12 阿膠10
これを五剤服すると,小便は暢利となり,口中の干渇・心下痞満・頭目眩暈・咳逆作嘔・夜間不寐などは次第に去った。
劉渡舟『医論医話100則』より
「治験」カテゴリの記事
- サイトカインストーム3(2021.01.14)
- サイトカインストーム2(2021.01.13)
- サイトカインストーム1(2021.01.12)
- コロナ闘病記より(2021.01.07)
- 膀胱の気化とは何か?(5)(2020.09.26)
Comments