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1.肝陰虚の肝胃不和

陰虚性の肝胃不和証
通常の肝胃不和のほかに,"陰虚性の肝胃不和"というものがある。
治療の際 往々にして燥薬劫陰の誤りを犯すので,注意を促したい。
この時の"陰虚"とは肝血と胃液を指し,腎陰のことではない。
もし肝胃の陰が一たび虚すと,気陽に拮抗できず,肝気横逆・胃気不和となる。。
また肝胃の気は相い通じているので,一臓が不和になれば,両臓とも病むことになる。
葉天士説く:"厥陰の気が上干すれば,陽明の気は失降する。"
このように肝胃陰虚不和は相互に影響しあっている。
ゆえに陰虚の肝胃不和には特殊性があり,一般の肝胃不和とは同日に語ることができない。

辨証論治
1.肝陰虚の肝胃不和
症状:胸脇満悶,胃脘痞脹,噫気,呃逆,不欲飲食,心煩,口咽発干,失眠多夢;或いは微熱,小便黄赤,大便不爽,舌紅絳無苔,脈弦細数。
治法:柔肝、滋胃、調気
方薬:柔肝滋胃飲(自制方)
組成:川楝、佛手、橘葉、牡丹皮、白芍、沙参、麦冬、玉竹、生地黄

加減法:
胸咽堵塞不堪,+貝母、鬱金、枇杷葉、射干;
頭目眩暈,+菊花炭、珍珠母、石決明;
胃気作嘔,+枇杷葉、竹茹、荷蒂、生牡蛎;
胃不開而食不振,+生扁豆、生谷芽、川石斛;
肝陽迫腸作瀉,本方-生地黄,+生牡蛎、生山薬

医案:李某,男,35歳。
慢性肝炎を患って已に二年,肝脾大で疼痛あり,胃脘は発脹し,嗳気すれば少し舒び,口咽は発干し,飲食は日に減ずる。
これまでの処方は,皆 香燥理気の品だった。
脈は左が弦細,右が弦滑,舌光紅で無苔。
証候分析:此れは陰虚肝胃不和で,一般の肝胃不和に非ず。
何故なら舌紅で光,脈は弦細,口咽干くは,陰虚乏液である。
新病なら経に在るところだが,久病となれば絡に在るので,肝脾は腫脹して疼痛する。

治法:軟堅活絡,柔肝滋胃
柔肝滋胃飲加減:川楝、鼈甲、生牡蛎、紅花、茜草、沙参、麦冬、玉竹、生地黄、牡丹皮、赤芍

此の方を加減して,三十余剤を服したら,胃は開きて能く食し,脇脹と疼痛は除かれ,面は紅潤となり,次第に康復した。
 劉渡舟『医論医話100則』より

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