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麻黄と遺尿1

わが国では何故かは分からないが、遺尿(おねしょ)に葛根湯を用いる例がある。
もしそれが麻黄の成分の覚醒作用を当てにしたものなら、何も葛根湯でなくても良いはずである。それをハッキリしなくては漢方は迷信に近くなる。ここで幾つかの実例を挙げて麻黄の遺尿に対する位置づけをしてみたい。

小兒の遺尿を中医では腎より治する場合が多い。
だが患兒の多くは睡眠過熟を伴い,尿液が膀胱に積満した刺激でも沈睡から醒めない方が多いのではないか。
余は麻黄湯で風寒に外感した患兒を治す時に,同時に遺尿症も愈えるのを経験している。
この啓示の后から,麻黄湯加減で10例の遺尿患兒を治療して(年齢6~12歳,病程3~9年)一例を除いて皆効があった。少い場合は僅か3剤で,多くとも6剤で愈えた。
 麻黄湯加減(麻黄5 桂枝・桑螵蛸・金桜子3 甘草2)
麻黄は,夏季には4gとし、冬季は6gまで増やす。
気虚には+党参6g,陽虚には+巴戟・益智仁3g。

典型病例:
李某,男,9歳。1991年4月12日。
母の代訴:幼きより遺尿あり,毎晩少くとも一回,多ければ三回。睡眠が深くて,遺尿した后でも醒めない。
羞ずかしがりで,面色は㿠白,舌淡,脈弱。
上方+党参6gとして 3剤。
2周后に母曰く:服薬后に患兒は醒め易くなり,自分で小便に行き,ここ10日ばかりは夜の遺尿はしていない。一年后に随訪したが再発していなかった。

討論:
1.現代薬理研究では,麻黄中のエフェドリンが,大脳・脳干や脊髄に対して興奮作用があり,量が多いと失眠となる。
遺尿患兒が服薬后に其の興奮作用により睡眠過熟から睡眠易醒に転じて,治療目的を達した。
2.麻黄には発汗利水の功能があり,用量は季節に随って増減しなければならない。
方中には更に桑螵蛸・金桜子の収斂固渋の品を加え,渋精縮尿の効を増やした。又それは麻黄の利水を制約するためでもある。
全方の用薬は走と守が相配され,静を以って動を制している。
本文摘自《四川中医》,1996年第3期,作者/黄俊峰。
麻黄汤加减治疗小儿遗尿 より

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