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麻黄と遺尿2

8歳女童,“遺尿4年” 2018年12月14日来診。
病史介紹:患兒は4年前から尿床が始まり,家長は彼女を連れて多くの医院へ行った。中医・西医を問わず,この四年間は一度も治療を止めたことはないが,収効するところは無かった。ますます頻繁に尿床があり,一ケ月中の半月に及び,日中も尿頻尿急するようになり,食も細く,睡眠は非常に深い,舌は淡紅で苔薄く脈は沈細である。

診断:此れは太陽と少陰の証である。よって麻黄湯合六味地黄湯加味(劉渡舟の経験方)を与える。
(麻黄6 桂枝・杏仁5 炙甘草3 熟地黄15 山萸肉・山薬8 牡丹皮・茯苓・沢瀉6 益智仁3),十二付。
二診(2018.12.29):薬后好転し 13日間に2回の遺尿,日中の尿頻尿急も好転した。前方+烏薬5gとして,十四付。

三診(2019.1.21):遺尿が再発し,この20日間に尿床7-8回あり。
前方-桂枝・杏仁・烏薬+五味子5 金桜子7 として補腎固渋止遺の力を強め,二十八付。

随訪(2019.8.7):上薬を服し完って遺尿は消え,停薬した。

病案分析:嬰幼兒の時期は,形体の発育が未熟で,臓腑は嬌嫩,“腎常虚”(明代・万全『幼科発揮』“腎は常に虚す”),智力も未熟,排尿の自控能力も未形成である。;学齢兒童は日中遊び過ぎると、夜晩に熟睡して目醒めずに遺尿するのは,病態ではない。だが3歳以上の兒童で,頻繁に遺尿するとなれば,病態として論治しなければならない。
六味地黄湯は腎水を下滋する;麻黄湯は能く宣肺し足太陽膀胱の気を鼓舞する(臓腑別通論:肺と膀胱は相通ず)。両方にて用陽化陰と,用陰潜陽を為す,臓腑表裏の気が相互に溝通すれば,津液と気化の出納作用が調和し,能く尿床を治療する。
方中に加えられている益智仁は,著名な老中医の陳樹森の経験方-五味益智湯(五味子・益智仁・炙麻黄10)である。
《陳樹森医療経験集粹》:方中の五味子の功は専ら補腎固精をなす;益智仁は補腎縮小便で,夜間の多尿を治す;麻黄の主要成分であるエフェドリンは,現代の薬理研究で能く大脳皮層や皮層下中枢を興奮すると認められており,精神を振奮させ,膀胱の括約肌に対して興奮作用がある。合せれば沈睡者は醒め易くなり,小便頻数者は減少する,故に夜間遺尿に対して有効である。
二診時に方中に加入した烏薬で,縮泉丸になる,これも亦 欧陽教授の遺尿の常用薬である。

遺尿を止めるには,麻黄は不可欠である。
傷寒論に曰く“汗家を重ねて発汗させると,必ず恍惚として心乱れ,小便をすると陰疼く時は,禹余粮丸を與えよ。”とあるのは陰血不足の人は,麻黄類方を服用すると小便が減少するので,推められない,尿頻・遺尿の人に対してのみ,麻黄が用いられることを指している。
前列腺疾患の患者に対しては,麻黄は奨められない,さもないと小便の出渋り現象が出現する!
妙用经方治疗小儿遗尿 より

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