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麻黄と遺尿3

麻黄湯で遺尿と癃閉の両方が治ると云えば不思議ですね。

1、麻黄湯治遺尿案

某女,32歳。1991年の春に風寒を感受して発熱悪寒頭痛し,感冒カプセル等を服用したが末だ愈えていない。
それからはいつも怕冷し,微熱,頭痛身痛,体温は37℃以上,某院の治療で,発熱は好転したが,小便が不利となり,数曰后には不禁となった。

初診:形体肥胖,両眼険虚浮,下肢浮腫,尿意頻急,小便した后になお尿意あり,時には自遺し,咳嗽の声高く、大笑すると尿液が自出する。
発熱微悪寒,肢節疼痛,体温は37~38℃,平時は出汗なし,炎夏時でも同じ,検尿に異常なし。
舌質淡潤,苔白膩,脈浮微緊。
これまでの処方は,皆 温腎固渋・補肺健脾の法ばかりだった。これにより別の方法として,太陽表実証をとる。
 麻黄湯(麻黄10 桂枝6 杏仁10 甘草15),3剤。
服薬后全身から津津と汗が出,発熱は解し,小便は正常となった。
(韓天育医案.吉林中医薬1992,(4);19)


2、麻黄湯治癃閉

呉某,男,36歳,1984年2月15曰就診。
患者は魚蝦を捕捉するのを生業とし,渉水淋雨は常のことである。三曰前に突然に畏冷発熱し,無汗,咳嗽の声重く,痰白くして稀,小便は点滴して不暢なるを伴い,小腹は脹急疼痛して按ずることができない。痛苦なること言状し難く,余に診治を求む。
脈は浮,舌苔は薄白である。此れは風寒犯肺で,肺気が鬱閉して尿閉不暢を来している。
 麻黄湯加味(麻黄15 桂枝・杏仁9 牛膝30 葱白3茎)
1剤を飲み尽すや小便は通暢となった。
(呉光烈医案:福建中医薬1987;(1):27)

按語:以上の両案は,ハッキリと相い反している。一つは遺尿であり、一つは癃閉であるが,どちらも麻黄湯で治愈しており,一見紛らわしいが,実際は理解することはそう難しくはない。
病因を看れば,両案の病因は同じ感受風寒である。
韓天育医案の患者は“風寒を感受して発熱悪寒頭痛し”,その后で遺尿に発展している;呉光烈医案の患者は因“渉水淋雨は常のことで,三曰前に突然に畏冷発熱し”,その后で小便が点滴して不暢となった。
病機を看れば,“肺は皮毛に開竅す”,“肺は水の上源”,“水道を通調し,膀胱に下輸す”。
今皮毛に寒邪を被り鬱閉し,肺の宣発功能が妨げられ,其の水道の通調功能に影響を来し,直接に膀胱の“開合”功能失常となったが,臨床上は“遺尿”と表現するが,“癃閉”でもある。
治療上は,“風寒襲表,皮毛被鬱,肺気失宣”という共通の病機特点を謹守し,麻黄湯で発汗開竅・宣通肺気し,上閘(水門)を啓(ひら)き、支流を開き,膀胱の開合機能を恢復して正常にしたものである。
麻黄汤佳案赏析----遗尿,暴盲,癃闭,催产 より

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