稀薟草2
豨莶草は価格が安廉な祛風湿薬で,唐代《新修本草》に載っているのが最初です。“味苦,寒,有小毒”,“主金瘡,止痛,断血,生肉,諸悪瘡を除き,浮腫を消す”。
宋代《本草図経》では“肝腎の風気,四肢麻痺,骨間疼,腰膝無力者を治し,亦 能く大腸の気を行らす”,“補虚,安五臓,生毛髪,兼ねて風湿瘡肌肉頑痺を主る;婦人久冷には,尤も宜し”と,其の祛風湿,補肝腎の功があると云っている。
豨莶草は価格が安廉な祛風湿薬で,唐代《新修本草》に載っているのが最初です。“味苦,寒,有小毒”,“主金瘡,止痛,断血,生肉,諸悪瘡を除き,浮腫を消す”。
宋代《本草図経》では“肝腎の風気,四肢麻痺,骨間疼,腰膝無力者を治し,亦 能く大腸の気を行らす”,“補虚,安五臓,生毛髪,兼ねて風湿瘡肌肉頑痺を主る;婦人久冷には,尤も宜し”と,其の祛風湿,補肝腎の功があると云っている。
以下は私が1997年の『中医臨床』通巻71号(Vol.18 No.4)で「豨薟草のあれこれ」と題して投稿したものです。
私は稀薟草を煎じ薬に用いるのが好きです。香港につてがあった時は他の物と一緒に2Kgづつ航空便で送って貰っていたのですが最近それが底をついてきました。ところが今は事情が変化して香港のつてが無くなって入手する方法がなくなりました。問屋さんに相談したけれどどうも従来の輸入品目ではないので駄目らしい。どうしても無いと困る品物なので困っていたところ先日、野山を散歩していてふと見やると、あるではないか、道端に図鑑の写真そのままに、か細く生えているではないか。私は小躍りした!今が花の時期で真っ盛りである。
老中医張重華の医理験案験方
1、周×× 男 17歳。
初診:1993年7月15日。双鼻塞がり、膿涕を流すこと3年,冬日は尤も甚し,頭額脹痛を伴い,嗅覚が減退している。
検査では双鼻腔の粘膜に慢性充血あり,双鼻中道の后端に積膿がある。舌苔は根に黄膩あり,脈細。
弁証:肺胃蘊熱,痰湿内生,壅塞鼻竅
治法:清肺和胃,利湿化痰
逐渊湯(藿香、陳皮、丹皮、丹参、川芎、天花粉、蚤休、黄芪、皀角刺、桔梗、生甘草)
功能主治:益気扶正,清熱解毒,疏風化湿,活血止痛,通利鼻竅。
方解:本方は透膿散《外科正宗》と奇授藿香丸《医宗金鑑》の合方加減である。
高××,男,11歳。
双側鼻塞を反復して5年,鼻塞は交替性で,鼻痒を伴い,噴嚏,流清水涕,朝晩に発作がひどい,季節性があり,秋冬に多発する。
双鼻粘膜が淡紫色,舌淡紅,苔薄,脈細。
弁証:肺気虚弱,風邪易侵,上犯鼻竅。
治法:益気固表,祛風通絡。
淡××,女,62歳。初診:1995年12月15日。
左鼻塞、流涕が7年も続く。検査では“左鼻内翻性乳頭状瘤”だった。12月20日に摘除術を受けた。舌質紅,苔薄,脈細滑。
弁証:肺気不宣,肝脾気滞,血瘀痰凝
治法:宣肺化痰,疏肝健脾,理気散結
腫瘤の形成は,正気不足のため,痰瘀邪毒が留滞して,聚り散らず,積聚して瘤となる。
《医宗必読》に曰く:“積って成る也,正気不足のため邪気が之に踞る”。
病因は邪毒侵襲,正不勝邪,邪毒亢盛,或いは情志不遂,肝鬱気滞,痰瘀積聚,或いは飲食不節,脾胃失調,痰気交結,聚而成塊 等である。
西医治療の手術、放療、化療は,往往にして脾胃功能を損傷し,肺腎陰津を耗傷し,ために気血陰陽虧虚なのに,更に正気を虧せしめ,邪気を更に盛んにする。故に腫瘤治療は,攻邪するだけでは,反って邪に勝つことができず,腫瘤が再発する。中医中薬による辨証施治では,整体調整,扶助正気により,機体の免疫力を高めて,再発率を降低させる。
鼻ポリープは良性腫瘤であり,西医は原則として手術切除をするが,術后に極めて再発し易く,多くの患者は数回の手術を経ることになる。
鼻蕈は肺、脾、肝の功能失調が元で,気滞、血瘀、痰凝により,贅瘤が形成される。
消瘤基本方:天花粉、浙貝母、木饅頭、仙鶴草、炒荊芥、山慈菇、生白芍、桔梗、生甘草
案4、王××,男,51歳,1998年3月9日初診
慢性胆嚢炎の病歴が4年で,時々発作がある。
この半月来 右脇が隠痛し,右肩背に酸痛や困重があり、食欲不振,少し食べただけで脘痞作脹する。胃鏡検査で異常はない。
超音波検査の所見は胆嚢壁が稍厚く、ボンヤリ映り,結石の影はない。
初診:口干して粘り,朝起に口苦,面色は萎黄,大便は干結して数日に1回,小便色黄,舌苔薄黄,脈弦細。
案3、張××,女,46歳,1998年10月6日初診
右肋が脹痛し,肩背を牽制する。
反復して発作すること3年余,超音波検査で胆嚢の収縮が見られない。胆嚢のバリウム造影で胆嚢の影が不鮮明で,1h后の胆嚢収縮は1/3。
初診:右脇脹痛、胸悶不適,時に悪心あり,嘔吐も,口干あるが多飲ではない,便秘と嗳気,油膩のものを食した后で,脇脘の不適が加重する。舌苔稍膩,舌質紅,脈弦細。
案1、褚××,男性,64歳,96年3月下旬初診。
胆石病を患って十余年,3年前に胆嚢の切除術を行ったが,術后1年で,右中上腹痛が再び発作し,術前の如し,超音波で肝総管と左肝内胆管に結石を示し,多方求治するも無効だった。
脇痛が隠隠とし,腰酸乏力,口干あるが不多飲,頭暈眼花,納呆便結,舌紅少苔,脈細,肝陰不足の証である。
養肝益気、疏肝を治法とする。
医案五
青年,淋雨にあい,半夜寒戦して,噴嚏,清涕,頭身疼痛ありて,体温は39.5度。
自分で解熱鎮痛薬を両片服して,始めて汗が出た。
朝起きたがまだ頭身に疼痛あり,熱粥を服し,汗が出て,体温は38度。
桂枝湯を与える。
医案四
砿工の妻,産后二十余日になるが,発熱し,身疼痛すること已に十日。
産后は肌膚失養となるのを考慮して,先ず八珍湯を三剤、后に人参養栄湯を三剤服させたが,皆効なし。
后に劉老(劉渡舟)に教えを請う。
内臓の気血は虚していないと謂われて,桂枝新加湯を与えた。
三剤では,やはり無効。
劉老は方を細査して,生姜の用量が三小片だったのを15g に改めた。
両剤で身痛は減り,三剤で愈えた。
医案三
女,神経性嘔吐となり三ケ月余り,水、飯、薬は皆吐き,輸液が両瓶を超えると変って粘液を吐出する。
西医は諸検査を終って,嘔吐の原因が無いので,神経性嘔吐と診断した。
夫が外で喧嘩をしているのを見てから,此の疾を患った。
前医は和胃降逆の品,例えば丁香、柿蒂、旋覆、代赭、丁萸、理中の類を多用したが,皆効なし。
現証は失眠,心煩,舌光紅無苔,脈弦細にして数。
慢性の泌尿系感染があり,発作を反復している。
医案二
某,心下痞硬して数ケ月余になり,食べずとも満悶し,食べれば更に脹る。
前医は屡々 和胃降逆の品を用いたが,効かなかった。
細かく問うと,口干があり,飲水が多い。
但し小便の量は少く,下肢に水腫あり。
先ず腹中満悶が起った后に,次第に心下痞になる。
医案一
某,過敏性哮喘,毎年5月1日に始まり,10月1日の国慶節には収まる。
病の始まりは二,三年前の国慶節に,游行して労累の后に冷飲凉食してからである。
現証は胸悶,心煩,喘促が時々起こり,発作時には西薬の噴剤が必要になる。
宋老(宋孝志)が之を診て与えたのは,梔子豉湯(焦山梔・淡豆豉15) 七剤。
七剤の后に心煩は減じた。
后は此の方を加減服用すること二ケ月半にして愈えた。
花金方は初めて《神農本草経》を読んだ時に当帰の条下に“咳逆上気を主る”とあるのを見て,其の意が分からなかった。
后に《素問・痺論》の“心痺とは,脈不通にして,煩し心下鼓し,暴かに上気して喘するなり。”を読んでから始めて頓悟するところがあった。
花金方は,当帰が治すところの咳喘とは,実は“金燥して咳する”ものであると思っている。
花金方は参苓白朮散の作用に関して注意を促している。
諸医の多くは益気健脾・滲湿止瀉の方としているが,其の中の桔梗一味の運用については,明らかにしていない。
花金方は,こういう世医の浅思に遇う度に,無窮の妙理を惜しむのである。
花金方は参苓白朮散の最大の特点は桔梗の配伍であると考えている。
世医は皆 桔梗は諸薬の舟楫(引経薬)であると思っているが,そうではなく気血を開提し,理気助胃の功があるのだ。
白朮は腰痛を治す。早くは《本経》に“風寒湿痺死肌を主る”と記載されているが,世医は無視して,僅かに脾気虚弱・気虚自汗・胎動不安の証にしか用いないのは,実に遺憾である。
花金方は《傷寒論》の甘姜苓朮湯に“腎著の病を治す,其の人 身体重く,腰中冷え,水中に坐す如し……腰以下が冷痛し,腰の重きこと五千銭を帯びる如し”との法中から,白朮が少陰に入り、腰腹の気血を利し、水道を通ずるとの功用を見つけ出した。
花金方(河北医科大学中医学院教授)は経典が指し示す作用を重視している。如えば薤白は痢疾の后重を治療する作用があると云う。
《傷寒論》第318条の四逆散の方后の加減は,医家に軽視され易い。
麻黄九禁とは次の九項に対して云われる。
咽、淋、瘡、衄、血、汗、寒,尺脈遅,尺脈微
咽とは,咽喉干燥者は発汗すべからず。
淋とは,淋家は発汗すべからず。
瘡とは,瘡家は発汗すべからず。
衄とは,衄には発汗すべからず。
血とは,亡血家のことで,発汗すべからず。
汗とは汗家,自汗や盗汗の人は,発汗すべからず。
寒とは,胃中寒のこと,中陽不足の人は,発汗すべからず。
尺脈遅とは,陰血不足の人は,発汗すべからず。
尺脈微とは,陽気不足の人は,発汗すべからず。
郝万山讲《伤寒论》 第16讲 より
麻黄の生用で陽気を発す
花金方は麻黄を談ずるに当たり,先ず“麻黄九禁”を挙げている。
《金匱要略・痰飲咳嗽病脈証并治第十二》:“そうなるのは,其の人が血虚だからである。麻黄が其の陽を発した故也。”
生麻黄は陽気を発越する作用が峻猛であり,実に発汗散寒・宣肺平喘・利水消腫の佳品である。
然し花金方は発黄や,小兒遺尿の証に用いて醒神を発陽して卓効を収めている。
花金方は遺尿のある小兒にはみな夜寐過熟・呼之難醒の弊があると考えて,麻黄で其の陽気を発して外出させた。“陽気は,外を衛り固める也”という功用を恢復させて,小兒の正常な排尿反射を幇助する。
怕冷:蔡某,女,47歳。
冷え症で,夜は電気毛布をしても,夜明けまで脚はまだ冷えており,舌淡,舌苔薄白,脈細弱。
陽虚は疑い無し。然し前医が温陽して効無し。
昨日は雪が降り,今日は雪が止んでも冷え方は同じ。
然し患者は下に三枚しか着ていない。三枚で,陽虚といえるか?
陽鬱かも? 試しに四逆散を三剤出した。
三日后の再診で,云わく怕冷が軽減したと。
効いているので方を変えず,継服すること三剤。
四逆散加味を運用して各種の心血管疾病を治療した。
心絞痛(肝気鬱結、血瘀胸絡、心陽不振型)、心肌労損(肝気鬱結、痺阻心絡、心陽不宣型)、心動過緩(肝気鬱滞、心脾両虚型)、心動過速(肝鬱気滞、心陽不振型),効果が出るのが捷く,長期にわたり有効だった。
高脂血症からの頭暈頭痛、肢体麻木、胸悶乏力、精神疲乏 等にも治療効果が好い。
四逆散+半夏厚朴湯,四逆散+栝蒌・厚朴・丹参の類で“風心病(風湿性心臓病・心臓弁膜症)”“冠心病”の心下急満を治す。
四逆散合猪苓湯:“尿路感染症”に最も常用されるが,“結石”には“失笑散(五霊脂・蒲黄)“を合わせると確実である。
四逆散合六味地黄湯:曽つて一老婦の長期にわたる原因不明の血尿を治療して数剤で止った経験がある。
四逆散合”消瘰丸“:前立腺肥大の治療に使える。また婦女の乳腺増生の治療にも,青皮・橘核類を加えて使える。
黄元御说“凡病皆‘肝’郁”,四逆散乃“郁”证之祖方 より
慢性前列腺炎に陽痿・早泄の合併
患者は姚某,27歳,已婚。
初診:陰茎は勃起するが堅さが足りず,勃起后の堅挺時間が短く,すぐに軟かくなる。
たまに挿入できるが,維持時間は2-3分間だけで,朝勃ちも少い。
下腹に言い難いような不適感を伴い,尿頻,尿灼熱,腰酸,手足凉,やや怕冷,頭暈乏力,口干苦,不眠,多夢,大便の頭は干いて后が溏である。
しばしば嘆息し,渋面をし,胸悶があり心情は鬱悶としている。
舌質紅く,舌辺が紅い,舌苔薄膩,奥がやや黄膩,脈弦細,双尺弱。
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