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耳鳴耳聾

中医の伝統理論では,腎は耳を主る,耳は腎の竅にして,腎の官なりと云う。
《医学入門》では“耳鳴とは聾の軽きもの也”と云う。

通常,耳鳴耳聾の多くは腎から論治するが,我々は肝から論治する。

(1)肝脈は耳に絡う:
足少陰の経脈は,胆に属し肝を絡う,其の支は耳后より耳中に入り、耳前に出る。故に肝胆の機能が失調すれば,耳の生理功能に影響する。
曽つてある女性患者を治したことがある。いつも怒った后で耳鳴耳聾が已まなかった。耳聾左慈丸を服すも無効だったが,逍遥散加減に改服したらたちどころに,耳鳴は止った。
肝気が鬱結し,気鬱化火となれば,経を循って清竅に上擾し耳鳴となる。故に疏肝解鬱,理気降逆すべく,逍遥散の類をを治用すれば,療効がある。

(2)肝腎同源:
腎は五臓六腑の精気を受けて之を蔵す。其の精気が耳に上通すれば聴くことが出来る,故に腎は精を蔵す。また肝は血を蔵し,肝血が充盛となれば,血は精と化し,精は血と化す。精血は同源なる,故に肝腎は同源なり。
肝陰が不足すれば,耳竅は失養し,耳鳴耳聾を生ずる。又肝木は腎水の滋養を頼り,腎陰が虚すれば,水不涵木となり,肝陽は偏亢し,虚火が上炎し,清空を上擾し,耳鳴耳聾が出現する。

(3)肝と気血の調暢は密切な関系がある:
肝は蔵血を主り,又疏泄を主る。気機が調暢すれば,気は行り血も行る。若し肝が疏泄を失い,気血失和,気滞血瘀となれば,耳竅は阻まれ,耳聾となる。
通気散(柴胡、香附、川芎)+通竅活血湯,or+血府逐瘀湯は,能く理気し,又能く活血する。

(4)当帰芍薬散は耳鳴耳聾を治す:
当帰芍薬散は《金匱要略・婦人妊娠病脈証并治》にあり,当帰、川芎、芍薬,白朮、沢瀉、茯苓から組成され,主治は肝脾不和からくる婦人の腹痛病証である。
近年は耳鳴耳聾の治にも用いられている。肝気過旺で,横逆犯脾の者は,肝火は降り,脾土は健となり,耳竅が養われて,耳鳴耳聾が已む。
张重华(六)耳鸣耳聋 より

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