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心下痞硬-五苓散

医案二
某,心下痞硬して数ケ月余になり,食べずとも満悶し,食べれば更に脹る。
前医は屡々 和胃降逆の品を用いたが,効かなかった。
細かく問うと,口干があり,飲水が多い。
但し小便の量は少く,下肢に水腫あり。
先ず腹中満悶が起った后に,次第に心下痞になる。

五苓散 原方を三剤。

服后,尿量が増多となり,口渇が緩解し,痞硬感が下の方へ移動する気がする。今は肚臍下がなお硬満している。
又服すること三剤にして愈ゆ。

《傷寒論》原文:
太陽病になり,発汗した后で,大いに汗が出,胃中が干き,煩躁して眠るを得ず,水を飲むを得んと欲する者は,少少之を與えて飲ませ,胃気をして和せしめれば愈ゆ。
若し脈浮で,小便不利,微熱ありて,消渇する者は,五苓散が之を主る。
発汗が已み,脈浮数で,煩渇する者は,五苓散が之を主る。
中風の発熱で,六七日解せず煩し,表裏の証があり,渇して水を飲まんと欲し,水入れば吐く者は,名づけて水逆と曰う,五苓散が之を主る。
本以って之を下し,故に心下痞すれば,瀉心湯を與える。痞が解せず,其の人 渇して口 燥煩し,小便不利の者は,五苓散が之を主る。

【評語】
《傷寒論》中の五苓散の適応証には二つある:一つは太陽の蓄水証で,もう一つは水気不化の心下痞である。但し結局は同じ病機,即ち下焦の水蓄である。
患者は心下痞すると雖も,小便不利があり,下肢水腫の証である。
郝老師は此の案は副証であると説べたが,見証は違っても実質はやはり同じ病機である。医案一(喘促-梔子豉湯)と本質的に差は無い。
此れで思い出すのだが、“傷寒中風に,柴胡の証があるが,一証さえあれば便ち是なりで,必ずしも悉く具わっていなくてもよい。”というのと似ている。
郝万山讲《伤寒论》之医案总结 より
※“水痞”ともいう。


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