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肝陰不足型の胆石病

案1、褚××,男性,64歳,96年3月下旬初診。
胆石病を患って十余年,3年前に胆嚢の切除術を行ったが,術后1年で,右中上腹痛が再び発作し,術前の如し,超音波で肝総管と左肝内胆管に結石を示し,多方求治するも無効だった。
脇痛が隠隠とし,腰酸乏力,口干あるが不多飲,頭暈眼花,納呆便結,舌紅少苔,脈細,肝陰不足の証である。
養肝益気、疏肝を治法とする。

(生地・熟地・黄芪15 枸杞子・何首烏・太子参・茵陳・白芍12 陳皮・緑萼梅6)

7帖后,脇痛が減軽し,精神も好転した。
上方+白朮・山茱萸肉12g,14貼后に脇痛は除かれ,口は干かず,頭暈せず,継服すること半年で,中途に急性発作が1回あったが,経治して緩解した。
超音波で肝総管と左肝内胆管の結石は前よりも減少していた。
その后も服薬を堅持すること1年で,腹痛は未だ再発していない。

案2、馮××,女,37歳。
右中腹の隠痛を反復すること6年,腰膝酸軟と,神疲乏力を伴う。
咽干口苦,夜寐欠安,大便干結,舌淡紅で無苔,脈細,超音波:胆嚢内に結石が充満している。
胆嚢造影で胆嚢がぼんやり映る,肝功能は正常,手術を怕れて治を求む。
肝陰不足の証で,治法は養肝柔肝に,疏肝利胆を佐とする。

(生大黄・何首烏・黄芪・太子参・枸杞子15 白朮・山茱萸・鬱金・茵陳・緑萼梅9 生大黄6) 毎日1剤,水煎服。

服すること14剤の后 上腹の隠痛は減軽し,精神は好転し,大便が正常となった。
原方加減の治療を3ケ月間継続し,胆嚢造影で胆嚢がハッキリ映り,超音波で結石が減少した。
治療を1年間持続した后,諸症は全て消え,胆嚢功能は正常に恢復し,胆嚢内には結石が無かった。随訪1年では再発していない。

按:此の二例はともに肝陰不足型の胆石病で,臨床症状・体徴は基本的に同じく、治則・方薬も近似している。
前の一例は60代の年齢で,肝腎は已に虚し,正気が不足している,故に熟地を用いて肝腎を補ったが,大黄・鬱金 等の通下理気の品は用いていない。
后の一例は“肝陰不足”と雖も,年は僅か“五七(35)”であり,尚お通利が出来て,且つ手術をしていないので,病は胆嚢に在る,故に大黄・鬱金を加用した。
病いは違っても治の基本は同じで,遣薬が稍や異るが,ともに良効を獲た。
朱培庭 医案 より

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