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当帰は養血により咳喘を愈す

花金方は初めて《神農本草経》を読んだ時に当帰の条下に“咳逆上気を主る”とあるのを見て,其の意が分からなかった。
后に《素問・痺論》の“心痺とは,脈不通にして,煩し心下鼓し,暴かに上気して喘するなり。”を読んでから始めて頓悟するところがあった。
花金方は,当帰が治すところの咳喘とは,実は“金燥して咳する”ものであると思っている。

張錫純は当帰は“能く肺金の燥を潤し,咳逆上気を止める”と謂っている。
然し肺金がどうして燥くのか?
それは多くは久咳が解せず,痰涎が阻絡し,陰血が濡らさぬ故である。
だから治咳には養血が必需であり,血が行り金が潤えば咳は解し易く,活血養血の品が止咳の功を強くすることができる。
王海蔵は“当帰は血薬であるのに,どうして胸中の咳逆上気を治すかと云えば,按んずるに当帰の味は辛散であり,血中の気薬である。咳逆上気とは,陰虚して陽が附着できなくなっている,故に血薬を用いて補陰すれば,血は和して気が降るのである。”と明らかに其の理を云っている。
この説明は中医学が早くから肺部疾患と血行通暢とは関系があると考えているからである。

李某,女,56歳。2013年10月20日初診。
咳嗽が已に十年近く続き,春秋の発作が重い。
咳喘短気し,口干胸悶する。不眠で多夢,食欲不振で乏力。月経は正常で,二便も正常。舌辺に瘀点あり,苔薄く,脈は細。
これは血虚金燥の証である。
治は益気養血・健脾化痰に宜し。

処方(党参・白朮12 黄芪30 当帰15 赤芍・焦神曲10 前胡15 蘇子10 瓜蒌15 生竜牡各20 甘草6),7剤

咳嗽は軽減し,食寐ともに正常に帰したので,更に7剤を進めて,療効を鞏固にした。
花金方:用药经验举隅 より

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