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上病下取-痄腮

“上病を下に取る”とは《素問・五常政大論》で云われている:“気反して,病上に在れば,之を下に取る。”
《霊枢・終始》篇に曰く:“病上に在れば之を下に取る。”是れは上部の病変を下部より治す事を指し,一種の上下相反的治法である。
明代・張景嶽の指出:“気反する者は,本は此れに在りて標は彼れに在る也。其の病が既に反すれば,其の治も亦反するに宜し。故に病上に在れば,之を下に取る,如し陽病なら其の陰を治し,上が壅すれば其の下を疏す也。”
上病とは,病変の部位、病証の表現が上に偏するのを指す;下取とは,臨床主証の所在部位より以下の臓腑や体表に用薬したり針灸をしたりして調理と治療を進めることである。

痄腮とは流行性腮腺炎で,中医の温毒の範畴で,児童や小児が純陽の体であるので,風熱疫毒に最も感受発病し易い。初起には邪は口鼻より入り,先ず肌表を犯し,すぐに少陽経に入侵し,耳下に熱毒と気血壅滞をもたらす。其の病変は少陽が主であるが,少陽胆経と足厥陰肝経は相表裏をなし,疫毒熾盛は足厥陰肝経に直伝し,陰器に下注して睾丸炎を発する;胆木は陽明胃土を犯し易く,毒熱の邪は陽明気機を壅塞し,腸腑に内結し,腹満痛、便秘、嘔吐の症となり胰腺炎を発する;疫毒が化火し,陰液を灼傷し,心包を内閉すれば,肝風内動となり,神昏、譫語、抽搐の症となり脳炎、脳膜炎を発する。

病案挙例
郄某,男,10歳,1993年3月21日初診。
痄腮を発病して一周,双側の耳垂の中心が腫痛し,口を開けると疼痛が加劇し,体温40℃,某医院の外来診で銀翹散加板藍根等の清熱解毒薬を服したが,高熱、腫痛は未だに良くなっていない。
初診:頭痛眩暈,高熱口苦,食欲不振,便秘6日,口気穢濁,小便短黄,双側の睾丸脹痛,舌苔黄やや膩,脈浮数。
弁証:疫毒熾盛,壅塞少陽,陽明燥結。

小柴胡湯加減(柴胡25 黄芩12 清半夏6 生甘草10 沙参20 大黄12 呉茱萸1) 1剤,水煎服。

上方の1煎を服した后,腸鳴が増強し,3時間后に便通1回,便の先は干だが后は稀で,奇臭がひどい,その后に体温は38℃に降り,口気は消失した。

2診: 原方の大黄を6gに改め,同方を再進すること3剤。
服薬3剤の后に,体温は37.5℃に降り,毎日便通1回,腫痛は大いに好転し,食欲が増え,気分が佳くなった。

 柴胡10,沙参10に改める。上方を全部で7剤服して愈えた。

按:本例の患者は疫毒が少陽経を壅塞し,少陽の枢機不利となり,気血毒熱が互結した,故に小柴胡湯を選用し本を治した;胆経の毒熱熾盛は陽明を侵し易く,陰津を耗傷し便秘6日,口気穢濁,舌苔黄やや膩となったので,大黄の用量を加大し,燥糞を通下し,毒熱の邪を糞から排出して標を治した。
消化道は人体の主要な管道である。消化道が通暢すれば,人体の諸管道は皆通暢し,気血が通達する,故に“通ずれば痛まず”;少量の呉茱萸を配した意は大黄の苦寒を制して太過にならない事に在る,苦寒の大黄を病所に引いて直達させ,瀉火解毒,活血消腫した。呉茱萸の下気は最も速く,善く厥陰の疼痛を止めた。
上病下取疗痄腮 より
魏文浩 魏斋 河北省保定市清苑县中医医院

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