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小柴胡湯と頑疾

案1 呉某某,男,44歳。2009年6月5日初診。
微熱が2ケ月余り続き,西医検査では,病因、病巣を特定できず,毎日ただ生理塩水、抗生素、ステロイド等を注射するばかりで,2ケ月治療するも無効。
初診:患者は頭痛あり,体温37.5℃,納可,眠可,二便正常,脈象やや弦細,他に異常無し。
《傷寒論》云:“傷寒脈弦細,頭痛発熱者,属少陽。”
因って小柴胡湯の原方を與えた,柴胡は毎剤24gを用いた。共服3剤にして,微熱は全て退き,患者は全身舒適を覚えた。

案2 劉某某,女,63歳。2009年11月21日来診。
冠心病を患い,心律失常が2年以上続いている。これまでに中薬の活血祛瘀剤や西薬を用いて治療したが無効だった。
胸満胸痛,気短心悸,頭暈失眠,口干口苦,舌苔白,脈弦滑にして時に結渋あり。
弁証:肝鬱気結,痰湿不化
治法:疏肝理気,化痰清熱
小柴胡湯加味(柴胡・黄芩15 半夏・党参10 甘草6 生姜3片 大棗5枚 瓜蒌20 鶏内金12)

上薬を5剤服して,諸症は好転した。継服すること10剤の后、心悸は消失し,心電図は正常となった。
患者の自覚症状が好転したので,薬を飲まなくなったら,数日して又心悸が現れ,心電図は室性期前収縮を示した。
そこで又 小柴胡湯加味で治療をし,服薬一年后に訪ねると諸症は消失しており,再発は無かった。

按:発熱頭痛は,三陽証に皆見られるが,それぞれ脈を見なければならない。浮なら太陽,大なら陽明,弦なら少陽である。
案1の患者は微熱、頭微痛,脈やや弦細で,証は少陽に属すること疑い無し,故に小柴胡湯を與えて和せしめて愈えた。
心律失常を心より論治して効かなければ,多くは肝気鬱結,少陽経気の不利である。
これらの患者がいつも現わす心悸の発作,情緒の低落,甚しきは悶悶哭かんと欲し,頭暈失眠を伴い,口干,口苦,脈弦にして結するには,肝胆の気機を疏達する必要があり,主用するのは小柴胡湯である。
夾痰なら,+瓜蒌とし寛胸祛痰を図る;心陽不足には,-黄芩,+桂枝、茯苓;血虚には+逍遥散。

小柴胡湯は少陽病の主方である。少陽は足少陽胆と手少陽三焦を包括し,其の性は条達を喜び抑鬱を悪む。其の気は疏泄を喜び凝滞を悪み,表裏陰陽順接の枢紐であり,内外出入の途を掌管し,上下升降の機を司る。
邪気が少陽を侵犯し,少陽の経腑が同病となれば,肝胆の疏泄が不利となり,気機は不舒,気血津液は不行,内外上下は不通となり,諸病を生ずる。
方中の薬物は三組に分れる:一は柴胡、黄芩で少陽経腑の邪熱を清解し,又能く肝胆の気機を疏利し,和解少陽、表裏の主薬である;二は半夏、生姜で和胃降逆止嘔し,并せて其の辛散作用を通して,柴胡の経中の邪を透達する兼助となる;三は人参、甘草、大棗で益気調中し,能く胃気を鼓舞し以って少陽枢転の力を助け,又能く脾胃を補い以って少陽の邪が内伝しようとする路を杜絶する。諸薬が共働して,少陽の経腑は同治され,又脾胃を旁顧し,気鬱をして達せしめ,火鬱を発し,枢機は自ら利する。
小柴胡湯を使用するには以下の三点に注意しなければならない:一は本方の主要作用は柴胡に在り,重用することが必須である。
《時方妙用》説:“方中の柴胡一味は,少用なら四銭,多用なら八銭。”其の剤量は人参、甘草の二倍以上が宜しい。
二は柴胡湯証の主証、主脈は,“但だ一証があれば便ち是なり,必ずしも悉く具えずとも可”。
三は本方証には色々あるが,主証、主脈を辨明した基礎の上で,証に随って霊活に加減しなければならない。
小柴胡汤治顽疾 より

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