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児童多動症

注意欠陥・多動性障害のことで,嬰児期から顕われる症状は,興奮、睡眠が少ない,大小便の習慣ができない等で,学齢期には最も顕著となる。年齢が増長するにつれ症状は次第に軽減したり自然に消失する。
《霊枢・行針》“重陽の人は,其の神動き易く,其の気往き易き也”
《素問・挙痛論》“驚けば心倚る所なく,神帰する所なく,慮定まる所なし”
中医では肝風、失聡、健忘の範畴に属し,心、肝、脾、腎の諸臓との関系が密切である。

痰瘀が心脳を攻めて多動証を生ずる
張士卿は早くから,痰瘀相関の理論を主張している。古人は早くから“怪病に痰多し”と云っている。
小児の体質特点は“陽常に有余”なるゆえに,心火亢盛,心神不寧,加えて火盛爍津,煉液為痰,痰滞血渋,瘀阻不行から,容易に痰瘀互結が導かれる。
同時に小児の肝も常に有余であり,升発太過から横犯脾土となり,脾土は運化を制限され,生湿生痰となり易い;痰気交阻すれば,又一身の気血の営運不周となり血瘀し易く,痰瘀互結となり,気血は髄海を上栄する能わず,痰瘀は心脳を攻めて多動証を生ずる。

治法は養心安神に滌痰活血を配合する
張士卿は,先天不足、后天失養と,痰瘀互結を結び付け,治療時には,補養心脾,安神定志,填精補血,益智開竅 法の外に,常に瀉火滌痰、活血化瘀の法を配合しなければならないと云う。
張士卿が善く用いるのは,桂枝加竜牡湯、甘麦大棗湯、孔聖枕中丹に、通竅活血湯加減を配合したり,または逍遥散合千金竜胆湯加減である。

薬用:桂枝、赤芍、生竜骨、生牡蛎、熟地、丹参、石菖蒲、遠志肉、桃仁、紅花、胆南星、炙亀板、炙草、大棗、浮小麦

随証加減:心脾両虚者,-熟地、亀板、紅花,+太子参、炒白朮、茯神、当帰;
虚陽上擾者,-桂枝,+枸杞、益智仁、鹿角粉;
痰火蘊結者,-桂枝、熟地,+黄連、竹茹、竜胆草、白菊花;
夜寐不寧,多夢囈語(うわごと)者,+珍珠母、夜交藤

案例:周某,女,8歳,2003年8月10日初診。
患児の出生は月足りての順産で,平素は特殊な疾病もなく過ごしていたが,4歳の頃,好動少静となり,何事にも専心できず,算術加減を教えても,反応はかなり遅鈍だった。言語の表現は普通だが,性情は短気で,強情であった。小学以来,授業では落ち着いて聴講できず,いつも何かしら動作をしていた。学習成績は悪く,数学は常に不合格だった。
初診:面色蒼晦,睡眠中に,夢を見て善くうわごとを云う,食欲はあるが,蔬菜、水果を嫌う。診察の時は一時もじっとしていない。舌紅苔白,脈象弦滑。
弁証:肝旺脾弱,痰瘀互結,心竅不開,神守不寧。
治法:調肝理脾,豁痰化瘀,開竅益智,寧神制動。

逍遥散合千金竜胆湯合通竅活血湯加減(柴胡・当帰・茯苓・赤白芍・丹参・鬱金・法半夏10 青皮・陳皮6 菖蒲10 遠志6 益智仁・竜胆草・鈎藤10 炙甘草6 炒酸棗仁15 焦三仙10)

上方を加減して,前後30余剤を服薬し,諸証は緩解し,授業や作業が大分静かに集中できるようになった。その后 帰脾丸、六味地黄丸を,毎日2回、毎回4粒づつ常服し,約半年余になる。家長を訪ねると,能く正常に聴課し,数学成績も亦明らかに良くなったと謂う。
张士卿治疗児童多动症经验 より

※患児の智力は基本的には正常であるが,主に注意力の障碍としては,注意力不集中,物事やレッスンをすることができない,外界からの刺激を受けやすい;行為障碍としては,好動、好説、好閙(騒々しい),自己制御が難しい,年齢不相の活動過多,語言過多,紀律遵守が難しい,友人と争う;情緒障碍としては,易怒、易興奮,情緒不穏,易激動,控制力弱,満足しないと大哭大閙,情緒波動を預測できない;学習困難としては,智力は劣っていないが,注意力散漫で,学習内容を掌握できず,学習成績が佳くない。最悪な場合は不登校、嘘つき、偸窃 等の行為となり,攻撃性、破壊性行為に発展し,児童の身心の健康成長に厳重な影響を及ぼす。

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