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六味小柴胡湯1

案1 急性支気管炎
王某,女,73歳。2008年2月13日就診。
主訴:咳嗽一月余。患者は1月前に受凉后 悪寒、低熱、咳嗽となり,消炎西薬を服した后 悪寒発熱は消えたが,咳嗽だけが残った。
初診:咳嗽が頻繁にあり,咳声はやや嗄れて,痰は殆ど無い;神情は低落し,話したがらず,食欲不振,口淡無味,口干,水を飲んでもほんの少しだけ;夜間睡眠すると微かに汗が出る,大便稀溏,臭いが少ない,毎日1次,小便は正常;舌痛が較甚,舌質紅,舌中に裂紋あり,舌前は無苔,脈沈細。
弁証:邪在少陽の寒咳兼肺陰不足

六味小柴胡湯加味(柴胡12 黄芩・制半夏10 干姜・五味子・生甘草6 北沙参12 麦冬10)

1剤薬后,患者は夜間に全身から汗が出,咳嗽の八割方は良くなった。3剤后に咳嗽、夜汗は止り,食欲も恢復し,大便は正常となったが,舌痛だけは遺っている。

按:本方の運用は《蘇沈良方》卷三“解傷寒小柴胡湯”の条に記載されている。“元祐二年,時行ありて少長皆咳すれば,此れを服して(注:六味小柴胡湯)皆愈ゆ”。
この患者は神情低落し,話したがらず,食欲不振,口淡無味は条文の“黙黙不欲飲食”という記述に似ている。“傷寒中風で,柴胡証が,ただ一証でもあれば良い”との原則に基ずいて,邪在少陽の証と辨じた;咳嗽久しく愈えず,大便稀溏,臭いが少ないを兼ねるのは,寒邪が中上二焦にあり,典型的な六味小柴胡湯の証である;咳嗽の声音がやや嗄れ,口干,夜間汗出,舌前無苔とは咳嗽が日久しくして肺陰耗傷の象であり,沙参、麦冬の証である。
患者の病情は簡単だが,これは寒熱虚実錯雑である。薬后に患者が夜間に全身から出汗したことは少陽の枢機が条暢し,三焦の気化が正常になった事を説明している。これは陽明病で“脇下硬満し,大便せずして嘔し,舌上に白苔あり”に小柴胡湯を用いた后“上焦が通を得て,津液が下るを得れば,因って胃気は和し,身から濈然と汗出して解す”と異曲同工の妙である。

(230) 陽明病,脇下鞕満,不大便而嘔,舌上白苔者,可与小柴胡湯。上焦得通,津液得下,胃気因和,身濈然汗出而解。
六味小柴胡汤妙用3则 より
六味小柴胡湯

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