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中風-陰虚陽亢

李振華は歴代の医家とは違った見解を持っている。この病を形成するのは内因が主であり,先ず機体虧虚,臓腑功能の失調があり,それに何らかの誘因が加わり気血逆乱,経絡不暢を発すると。
其の病理は心、肝、脾、腎と関係がある。病変が重ければ関わる臓腑に波及するし,軽ければ僅かに血脈経絡だけに限定される。それで辨証は中臓腑、中経絡とに分辨される。
突然昏倒し,人事不省に,継いで偏瘫不語となるのは中臓腑である;昏迷を経ずに,突然口眼歪斜や,半身不遂や,語言不利になるのは中経絡である。中経絡は陰虚陽亢、風痰上逆と気虚血瘀の3証型に分けて論治される。

陰虚陽亢型
患者の多くは頭暈頭疼し,昏倒を経ず,突然 口眼歪斜,舌体不正,語言不利,半身不遂となる。舌苔薄黄,質紅,脈弦細数。
治法:滋陰潜陽,熄風通絡
養陰通絡湯(制何首烏21 牛膝、白芍15 丹皮9 地竜21 全蝎9 土鼈虫12 珍珠母30 菊花・烏梢蛇12 鶏血藤30 天麻9 甘草3)

本証は腎陰虧虚,肝陽上亢,肝動化風,風火が清竅を上擾し,経絡を走竄し,気血不暢となる。
制何首烏、川牛膝、白芍、丹皮、珍珠母は,滋陰清熱潜陽;地竜、全蝎、土鼈虫、烏梢蛇、鶏血藤、菊花、天麻は,熄風通絡。
中経絡による陰虚陽亢証と中臓腑による陽閉証の半身不遂に適用される。如し舌強語謇すれば,+節菖蒲、遠志、鬱金。如し痰多なら,+川貝母、天竺黄。

病案挙例
章某某,男,66歳。1991年4月26日初診。
患者は1990年7月5日に情緒激動に加えて飲酒過量があり,突発 神志昏糊となり,肢体軟瘫,語言不利となった。
症見:右側肢体無力,語言は流利を欠き,頭暈耳鳴がある。神志は清晰で,語言声低,形体肥胖,面色紅。舌質紅,苔薄白,脈沈細。

患者は年齢からも肝腎陰虧であり,情緒激動と,飲酒過量のため,腎陰虧虚,肝陽上亢,肝動化風,肝風が痰を夾んで清竅に上擾し,経絡を走竄し,気血不暢となっている。
中医診断:中風(中経絡)
弁証:気陰虧虚
治法:益気養陰,通経活絡

処方:(黄芪30 党参20 当帰12 赤芍15 制何首烏20 枸杞子・山萸肉・黄精15 鬱金・節菖蒲・炮山甲10 烏梢蛇15 桑枝30 地竜15 鹿筋10 蜈蚣3条 土鼈虫10 甘草3) 12剤。

1991年5月8日二診:頭暈耳鳴は大いに減り,言語は前よりも流利となり,右側の手は伸開ができ,足は挙がり,精神飲食好く,舌質紅,苔薄白,脈沈細。
脈象はまだ沈細なのは,陽気虧虚が明らかなので,黄芪を50に増やして,12剤。

1991年5月21日三診:頭暈耳鳴は消失,語言有力で流利,自力で歩行ができるが,右側肢体はまだ無力,舌質淡紅,苔薄白,脈沈細。
肢体無力,舌淡で脈沈細は,気血虧虚の象なので,更に益気養陰,強壮筋骨のため,+西洋参6,丹参15,牛膝12,鶏血藤30。
黄精の性は滋膩,土鼈虫には小毒あり,ともに久用してはならないので去る。12剤。

1991年6月4日四診:右側肢体は前よりも力強く,自力で階段を上れ,語言流利,睡眠好く,時に頭暈あり,舌質淡紅,苔薄白,脈弦細。
益気養陰,平肝熄風,強筋壮骨を続ける。
-当帰、烏梢蛇、桑枝、赤芍、蜈蚣、地竜,+丹皮10,草決明・黄精・山楂15,沢瀉10。12剤。

半年后の来信では,上方加減を共服100余剤,右側肢体は康復し,殆ど不適な症状は無い。
李振华分型论治中风轻证(上)より

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