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帯状疱疹と臓腑辨証

張某,女,52歳。2010年5月4日初診。
患者は“左上肢が疼痛して1周,発疹してから4日になる”と云って来診した。
患者は1周前に母親が世を去り,悲傷哭泣し,また労累過度となり,左上肢に針刺様の疼痛が出現し,夜間の疼痛が劇烈で,夜は寐られなくなった。4日前に左上肢に皮疹が出現し,疼痛が持続している。
初診:左上肢が疼痛し,夜間の疼痛が劇烈で,握拳することが困難,口苦,口干,咽干,盗汗,怕冷,眠差を伴う。食欲はあり,二便も調っている。
査体:左上肢に簇集様の水疱が散在し,疱液は清瑩で,中は正常皮島,基底色は潮紅。舌質暗紅,辺に歯痕あり,舌苔白膩,脈弦細。

弁証:心脾湿熱,毒滞絡阻
治法:清心瀉脾,解毒通絡

瀉黄散+黄連解毒湯+牽正散加減(黄芩12 黄連6 生梔子・藿香12 防風3 白僵蚕12 全蝎6 白附子・柴胡・赤芍9 生甘草3 沢瀉12) 3剤。

2010年5月7日二診:患者は服薬2剤の后に握拳できるようになり,疼痛は一半以上が減軽した。今は口干、怕冷、盗汗は已み,大便日1行,便は形を成さず,皮疹部分は結痂した。舌質は暗胖,歯痕あり,舌苔白膩,脈弦細。
上方-沢瀉,継服4剤。

2010年5月11日三診:皮疹は全部が結痂し,已に疼痛はないが,軽度の胃脘部脹満があり,大便は暢快ならず,口干するが飲みたくない。舌質は暗胖,舌苔薄白膩,脈弦細。

上方-苦寒の梔子,+炒莱菔子12。3剤。
服薬3剤の后,諸症は消失し,痊愈したので停薬する。

按:帯状疱疹は中医では情志内傷,肝鬱化火に因るとし,肝胆湿熱が蘊毒したものであるから,多くは竜胆瀉肝湯加減を選用して治療する。
本案の初診では,疼痛が劇烈で,水疱があった。舌苔の白膩と合せて,湿熱毒滞と辨じて疑議なし。
だが高建忠老師は肝胆湿熱の竜胆瀉肝湯を選用せず,病変が上肢に発したことを考慮して,“脾は四肢を主る”と,“諸痛痒瘡は,皆心に属す”を合せて,本証は心脾湿熱毒滞に属する,故に瀉黄散合黄連解毒湯を選用して清心瀉脾,化湿解毒した。
同時に病変が突発的で,局部の疼痛が劇烈であることを考慮し,風痰阻絡の可能性があるとし,牽正散を合せて祛風化痰通絡した。
患者の病変は情志内傷と,母親の病後の苦労に耐えたことで,肝経の疏泄が失職したと考え,柴胡、赤芍を加えて肝経の気血を疏調した。
方中に既に黄連解毒湯の苦寒瀉火解毒があり,又 牽正散の辛散通絡がある,故に瀉黄散の辛寒の生石膏は用いなかった;舌苔白膩を考えて,方中の寒熱薬の性比のバランスをとるために,利湿清熱の沢瀉を一味加えた。
訪問診という時間の制限内にあって,高建忠老師の辨証から選方、用薬,臨機応変,系統的,取捨の意義などから,后学を啓発することが多くある。

初診で大効があり,二診では沢瀉を去って清瀉の力量を減軽した。両診で投薬したのは7剤だけで,疼痛を全て止め,結痂させ,その療効は快捷であり,初診での辨証用薬の正確さが証明される。三診で善后として,苦寒の梔子を去り,消導の炒莱菔子を加えたのは,脾胃の功能を恢復するためで,これ又 邪を残して“死灰復燃”することを避けたものである。
运用脏腑辨证法治带状疱疹より
余暉 首都医科大学附属北京中医医院 周一民 南京中医薬大学附属江蘇省中医院

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