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六味小柴胡湯

六味小柴胡湯とは《傷寒論》第96条小柴胡湯の方后の加減法の一つです。

> 小柴胡湯,‥‥若し咳すれば,去人参、大棗、生姜,加五味子半升、乾姜二両。

即ち,六味小柴胡湯:柴胡、黄芩、半夏、甘草、干姜、五味子
六味の薬物から組成されているので,“六味小柴胡湯”と称する。

筆者は外感発熱、急慢性支気管炎 等の治療に,方証が合拍しておれば用いている。
方証とは,“寒咳”、“寒瀉”の症状で,干咳または白黏痰を喀出し,久しく愈えず,大便稀溏,或いは腹瀉の場合です。

医案:王某,女,33歳。2009年11月27日就診。
患者は1歳から咳嗽が始まり,毎年はっきりした誘因も無いのに入冬后に咳嗽が出る。干咳が主で,少量の白黏痰を咳出し,受凉、油烟の刺激、労累或いは大声で説話后に加重する。加重時には必ず連続して咳嗽を十数分間続く。冬季は毎日此のようで,春になると止る。他の季節は劇烈な情緒刺激に逢うと,やはり冬季と同じ咳嗽が出る。
“慢性支気管炎”との診断で,粛肺止咳化痰の中薬(桔梗、杏仁、半夏等)を服したが効果は無かった。
半月前にまた咳嗽が始まり,干咳で,咽痒や嗳気の后に発し,一時間后にようやく緩解する;イライラし,喋喋として休まず;汗が出にくく,面部に痤瘡が多く散在し,色は暗紅で,食欲、睡眠は好い,小便はやや黄,大便正常,舌体痩小,舌苔薄少,脈細弱数。
弁証:肝気不暢,肺気不降
治法:疏肝清熱,温肺散寒止咳

六味小柴胡湯(柴胡12 黄芩10 半夏12 干姜・五味子・生甘草6) 5剤。

12月3日二診:上方を3剤服用后に咳嗽は好転し,咽痒も消失した。たまに大声で説話した后に干咳が出るが,持続する時間は極く短かくすぐに緩解する。2剤を再進した后に諸症は消失した。
処方を換えて面部の痤瘡を治療し,并せて患者に数剤の六味小柴胡湯を家に備えておくようにさせた。

按:患者が咽痒や油烟の刺激の后で干咳するのは,“往来咳嗽”の現象である。診査でははっきりした痰飲、表証、陽虚等の兆候は無かったが,是れは少陽証“往来寒熱”の一種の延伸であり,柴胡の薬証である;典型的な柴胡の証は神情黙黙と表現される。だから一般には情緒が低落し,食欲不振で,性格も内向に偏る等の肝気鬱結症状が柴胡証と思われているが,我々はそんなのばかりではない事も知っている。柴胡の証で情緒が亢奮し,イライラ,喋喋として休まず,焦慮緊張し,甚しくは恐惧驚悸等の肝鬱化火の症状を呈するのもある。
この患者はイライラし,喋喋として休まず,容易に興奮し,血圧が波動し易く、心悸が早く,情緒が波動した后に咳嗽する等はみな 柴胡、黄芩の薬証である;冬季に咳嗽し,春季になると緩解するのは典型的な“寒咳”で,五味子、干姜の薬証である;嗳気の后で咳嗽を発するのは,胃気上逆で,半夏の薬証である。
六味小柴胡汤治多年顽咳体会 より

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