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連蘇飲2

2.病案挙例
例1.湿熱嘔吐
劉某,男,10歳,2002年6月18日初診。
代訴:発熱して嘔吐を伴うこと3日。天気が酷熱であったためか,飲食が腐っていたのか嘔吐になった。
初診:微熱で汗出あり,嘔吐が頻頻とし,舌苔は薄膩で微黄,脈弦滑数。
弁証:湿熱嘔吐

連蘇飲(黄連2 紫蘇葉3)搗碎して,熱水にて冲泡し茶飲する。

6月19日復診,昨日家へ帰ってから直ぐ連蘇飲を頻服したら,当夜は安睡し,朝起きても吐かなかった。尚無力で,食細く,苔白,脈弦軟。
弁証:脾胃虚弱,運化失常
治法:健胃消食

処方:(党参・茯苓・玉竹・焦三仙10 枳殻・焦檳榔・陳皮6 鶏内金・法半夏7) 4剤にて愈えた。

例2.妊娠嘔吐
孫某,女,27歳,2000年3月22日初診。
主訴:妊娠嘔吐が始まり3月余。食べ物の匂いをかぐと吐き気がし,食欲が全く無い,消痩のため,輸液をしてもう半月になるが,嘔吐は未だ続いている。
初診:嘔吐は朝に劇しく,舌紅、苔白少,脈滑数。
弁証:胎熱上攻,胃気上逆

連蘇飲(黄連3 紫蘇葉2),搗碎,開水冲泡代茶飲 3剤。
薬の匂いでも吐きそうになるなら,一口づつ頻服する。若し服した后に吐いても,かまわずに更に継服させる。

3月26日二診,初めて服した時,服后にすぐ吐いたが,吐后にまた継服して,次第に吐かなくなった。2日目には,嘔吐は半減した。3剤目には,まだ悪心があり,吐いたりもしたが,食欲は出てきた。舌偏紅、苔少,脈滑数。
胃津を護るために,上方+天花粉3 3剤。

例3.火鬱嘔吐
趙某,男,5歳,1999年6月12日初診。
代訴:5日前から頻繁に嘔吐している。某医科大学の附属医院では,腸梗阻と診断され,保守治療では効なく,手術を建議されたが,手術は望まない。
初診:患児は嘔吐のため,飲食ができず,腹は脹痛し,便艱,舌紅、苔薄黄,脈沈にして滑数。
弁証:胃中鬱火,胃逆嘔吐

連蘇飲加味(黄連・紫蘇葉2 大黄3) 搗碎,熱湯浸泡,代茶頻飲,2剤。

次の日電話がきて,帰宅後にすぐ薬を頻服させたら,1剤も飲み終わらぬうちに,夜半にはもう便通があり嘔かなくなり,今晨は殆ど正常に戻った。2剤を服し完るや,霍然と痊愈した。

例4.胃熱嘔吐
郭某,女,21歳,2001年6月7日初診。
主訴:感冒発熱后の嘔吐が未だに愈えない。
患者は感冒にかかり発熱に嘔吐が伴い,治療により発熱は退いたが,悪心嘔吐は未だに愈えない。
初診:悪心嘔吐,吐物は酸苦,吐が劇しくて黄汁を嘔き,飲食は少しも進まない,口干して飲みたがるが,吐くのを畏れて多飲しないようにしている,大便は稀で,毎天2~3回,舌淡紅、苔薄膩で微黄,脈沈にして数。
弁証:外感の余邪が未だ尽きず,胃に入りて化熱嘔吐。

連蘇飲(黄連・紫蘇葉3) 搗碎,熱湯冲泡代茶飲,2剤。
僅かに1剤を服しただけで嘔悪は止まった。

按:例1の患者は,湿熱蘊阻中焦,鬱而化火,胃気上逆の証による嘔吐。連蘇飲は辛開苦降,辛で開鬱し,苦で降火する。黄連で清熱燥湿すると,湿熱は去り,鬱火は清して,嘔吐は止った。連蘇飲を服した后,嘔吐は止っても,食欲不振で,乏力,脈弦軟であった。此れは邪気が去っても,脾胃の功能は未だ回復していないので,健胃消食をもって善后とした。
例2は妊娠の后,胎熱上攻,胃気上逆の嘔吐。連蘇飲の辛開苦降で,熱を清し,胃気を下降させて,嘔吐が止った。嘔は止ったが,熱盛傷陰があったので,天花粉を加えて胃陰を滋補して,妊娠悪阻は痊愈した。

例3は胃中に鬱火あり,腑気不通を兼ねて,表裏同病となっていたので,胃気上逆による嘔吐が甚しかった。連蘇飲の辛開苦降に,更に大黄を加えて瀉火通腑したら,豁然として解した。
例4は外感の寒熱が除かれているのに,余邪が未だ尽きず,入胃化熱して吐いていた。火が上攻しては嘔となり,下迫しては利となっていた。脈沈にして数で吐利があれば,熱鬱陽明と解る,故に連蘇飲にて治せる。

3.体会
熱湯冲泡の法とは,“上焦を治すには羽の如く,軽くなければ挙がらない”の意であると李教授は強調しています。“軽”には,三重の意味がある:一は薬量が軽いこと。薛氏云う:“分数が軽いのは,軽剤が上焦の病を治すから。”即ち“軽は実を去る可し”;二は薬の性味が軽いこと,気は陽,味は陰なり。気が勝れば升浮となり,味が主なら沈降となる。気薄きは陽中の陽,気厚きは陽中の陰なり。上焦病を治すには,当に其の気を取るべし,其の升浮が上達せしめる。紫蘇葉は芳香で気が勝る,故に肺胃を通ずる。薛氏云う:“肺胃の気は,蘇葉に非ざれば通ぜず”;三は久煎してはならない,久煎すると気は散じて味が留まる,熱湯に浸泡するのは,其の気を取り,升浮上達せしむるため。此の法は《傷寒論》の大黄黄連瀉心湯が麻沸湯に漬ける法に倣う。《温病条辨》の銀翹散の煎法に云う:“香気が大いに出れば取りて服す,過煮する勿れ。”というのは亦其の気を取るに在り,升浮を以って上焦に達する耳。
李士懋应用连苏饮治疗呕吐经验 より
 ※麻沸湯とは熱湯のこと

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