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新冠肺炎の診療思考 4

病機
大規模な疫病の発生は気候異常と関係がある。《素問》では疫病の発生は"五運六気"の異常によると云っている。
発生源の武漢は長江流域にあり,2019年は冬になってもずーっと暖冬で,平均気温は10℃以上だった。その后 気温は驟かに降り,陰雨が連綿とし,ついに寒疫を生じた。泰州市もまた長江流域にあり,武漢と似た緯度と気候条件である。《説疫全書》では,天候が温熱な時に,凄風苦雨が驟かに至るや,毛竅は正に開かれ,寒気にさらされると,衆人は同じく病む,此れが寒疫であると。清代の医家 劉奎の撰《松峰説疫》では,春夏四時を論ぜず,毛孔が開いている時に,驟かに寒に曝されれば,冷気は逼まり,寒疫を発すと。

この度の新冠肺炎患者の多くは、乏力・咳嗽・低熱或いは発熱せず,ごく稀に高熱が出るのは,寒疫の特徴と符合する。寒疫の邪は口鼻から肺に入り,肺衛に閉扼し,肺気不宣,衛陽不展となる,故に干咳して発熱がない。寒邪が久しく恋着すると,鬱して熱を発する。故に断続的な中低熱を発し,高熱は少ない。
ネット上の見解を総結すると,新冠肺炎の病機が"湿"であることが核心の一つである。本院の患者の,多くは干咳少痰や咳嗽とともに少しばかり黏痰を咯吐し,倦怠乏力,腹痛腹脹,大便稀溏など,甚しきは僅かに倦怠乏力,脘腹脹痛,便溏或いは大便干結を表わすだけであった。
発熱も本病のもうひとつの症状であるが,発熱の病機は3点を包括している。
一つは新冠肺炎の疫毒本身が具有する火熱の性である。清代の余師愚は《疫疹一得》で提出している: "疫とは毒のこと,火であることは明らか。";二つは邪気が伏火を引動すること,清代の戴天章は《広瘟疫論》の中で是を云っている。2019年の武漢地区は冬に入っても久しく温燥な気候であったが,急に暴寒陰雨に遇い,寒湿疫邪が伏燥の火を引動し,寒熱兼雑の象を現わすことになった;三つは寒湿の邪が鬱して漸次発熱となった。
今回の疫情は大勢の人が"寒湿疫"を支持している。寒湿といえば,其の性は収斂粘滞,病勢が久しくなれば,鬱して熱化する。当然,武漢を外れれば,輸入された感染は,熱象を現しつつも,なお寒湿の邪としての因時・因地・因人による現れ方をするだろう。薛博瑜教授は江蘇疫情中に現れる熱象は、寒湿疫邪が江蘇に入った后に地区的な温燥気候によって現れた寒湿の熱化であると云っている。
本院収治の10例の患者は,大部分の患者は低熱或いは中低熱を現わし,壮熱はいなかった。且つ発熱の多くは確診患者と接触して1週間の后に出現し,発熱しても口淡不喜飲であった。此れより本区の病例の発熱病機は寒湿の邪が鬱久して熱化したものと分析される。
五臓学説では脾は中土にして,肺は上焦の華盖なり。生理上二臓は子母の関系にあり,病理上もまた子病が母に及び,母病が子に及ぶという子母同病の聯系がある。本区の患者中でも,典型的な肺炎患者が消化道症状を合并していたし,単純な消化道症状といえども肺の特徴的な影像と結びついていた。此れより我々はこの病位は肺・脾の二臓にあると判断する。疫毒は口鼻より入り,先ず肺を犯し,肺気が受損すると,子が母の気を盗み,脾病の証候を現わした。湿毒は口鼻より脾土を直犯すると,脾は湿困となり,精を肺に上散せず,土不生金となる。即ち母病が子に及んだのである。具体的に分型すれば、咳嗽・発熱・乏力等の肺系の証候が突出すれば肺型であり,脘腹脹痛・大便溏泄或いは干結を主証候とすれば脾型である。勿論 肺型も脾型も,核心の病機は皆 寒湿の邪である。
新型冠状病毒肺炎真実世界中的中医診療実践与認識 より
※伝統的な思考法が進むが、さてどうなるか。

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