« 湿疹-丹参銀翹飲 | Main | 升陥湯―眩暈 »

升陥湯―か細い声

張錫純の升陥湯《医学衷中参西録》は胸中の大気下陥、気短不足(息切れ)を治す。
升陥湯原方(生黄芪12 知母6 柴胡・桔梗3 升麻2)
気分の虚がひどければ,酌加人参3 ; or 再加山萸肉3。

升陥湯は黄芪が主であるが,黄芪は善く補気・升気するが,やや熱性である。故に知母の凉潤で之を済タスける。
柴胡は少陽の薬で,能く大気の陥ちた者を左から引き上げる。
升麻は陽明の薬で,能く大気の陥ちた者を右から引き上げる。
桔梗は薬中の舟楫で,能く諸薬の力を載せて胸中へ上達する。故に向導の役である。

症例 か細い声
蒋某,女,34歳。2001年10月4日
今年の春以来,身体が弱くなり,頻りに気短(息切れ)を覚える。声が上ずり(上気と下気が接せず),まるで蚊か蝿の声の如し。舌は痩せて薄く水滑,脈は沈み骨に至り,右寸が尤も甚し。
弁証:中気不足,大気下陥。
治則:升陽挙陥,補益中気。
升陥湯加減(黄芪80 知母・桔梗15 升麻10 枳殻20 人参15 炙甘草20 陳皮・桂枝15) 5剤。

方議:君薬は黄芪、人参である。人参は補にして,黄芪の升には及ばない。
升麻、桔梗、枳殻は皆升提で,臣薬である。
柴胡を用いないのは,理気が過ぎて,耗気を恐れるからである。
陳皮は補剤が滞らないようにするため,桂枝は陽気を振奮するため。
一周后の二診では,効果があったので,更に12剤。半月后に電話で痊愈の報告があった。

按:以前に服用していた薬方は,多くは補気温腎助陽の薬物だった。大気下陥の病機を,気虚陽虚とみて治そうとすれば,遠からずも当ってはいない。中医の妙は,微末の間にあり。
灵活应用升陷汤三例 より
※亡き母が電話をする時には弱々しいかすれ声だったが、あれは大気下陥の証だったのではないだろうか。

|

« 湿疹-丹参銀翹飲 | Main | 升陥湯―眩暈 »

治験」カテゴリの記事

優良処方データーベース」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 湿疹-丹参銀翹飲 | Main | 升陥湯―眩暈 »