« 蘇軾と聖散子方 | Main | COVID-19 急性呼吸窘迫2 »

COVID-19 急性呼吸窘迫

1 案例
代某,男,56歳,2020年1月29日に張家口市の伝染病医院に入院。患者は1月10日にタイに行き、16日に北京に戻り、20日に玄華に戻った。

主訴:発熱、咳嗽があり15日経過。
現病史:患者は2020年1月19日から咳嗽あり,発熱は無し,1月20日に咳嗽が重くなり発熱、倦怠乏力を伴ったが,未だ受診はしていない。
1月28日8時30分頃 河北北方学校二附院で受診,疑似病例とされた。
1月29日にPCR検査 陽性,張家口市伝染病医院に転入。
1月30日 体温38℃,呼吸38次/min、心率100次/min、血圧143/79 mmHg,血中酸素圧76%。
発熱,咳嗽気急,少痰質黏,煩躁,舌質暗紅,苔黄厚膩,脈細数。
中医診断:瘟疫(湿濁鬱肺)
治法:祛湿化濁、清肺透邪
清肺排毒湯(麻黄9 炙甘草6 杏仁9 生石膏15 桂枝・沢瀉・猪苓・白朮9 茯苓15 柴胡16 黄芩6 姜半夏・生姜・紫菀・款冬花・射干9 細辛6 山薬12 枳実 陳皮6 藿香9)

1月31日 二診
患者は胸悶気促,呼吸困難が重く,腹脹便秘,舌質紅降,苔黄燥,新型コロナの危重型;多臓器不全症候群である。
気管插管され,人工呼吸器で呼吸を補助,胃管、尿管を留置,西薬の支持治療を継続。
中医診断:瘟疫(疫毒閉肺)
治法:宣肺瀉熱,通腑利湿
麻杏石甘湯+宣白承気湯+五苓散、大柴胡湯:前方―細辛,射干,猪苓,生姜,紫菀,款冬花,山薬,生石膏は30に改め,+葶苈子・瓜蒌15 桃仁10 大黄6

2月1日 三診
午前 病情重く,血圧不穏,100-84/70-50 mmHg,心率110回/min,CT検査で“白肺”状。人工肺(ECMO)支持。
中医所見:患者は喘息気促,口唇紫紺,頭部汗出,周身無汗,手足逆冷,面色潮紅,小便量少,4 h尿量20 mL,大便2日未行,脈沈細数。
診断:瘟疫(内閉外脱証)
治法:回陽固脱,化痰通腑開竅
麻黄附子細辛湯+大黄附子湯、還魂湯、生脈散:生黄芪60 人参30 山萸肉40 麦冬30 炙麻黄15 制附片30 五味子・生大黄15 亀甲20 細辛15 当帰25 浙貝母30 川厚朴10 杏仁15。2剤,鼻から胃にチューブで。

2月2日19時 四診
24時間后,大便已に下り,小便量が増え,12時間尿量600 mL。
人工呼吸器で俯臥位の通気で,煩躁不安は無い。
脈率81回/min,血圧130/85mmHg,体温36℃。薬が対症して,転機があったので,原方を継進する。

2月5日 五診
病情が悪化,血圧 150/110 mmHg,心率減慢 60回/min以下。四肢は温かくなったが,汗出減少,大便は通っているが,まだ喘息し,唇紫紺,脈細数。
中薬は前方を減量して灌腸による。

2月10日六診
患者の呼吸が改善し,気管插管を解除,自主呼吸が恢復したので,少量の流食を進める。
扶正固本のため中薬で調理する。
処方:黄芪30 紅参10 山萸肉20 麦冬15 五味子9 大黄6 当帰・浙貝母15 厚朴・杏仁10 蘇葉15 黄連10 甘草6 桔梗・焦三仙10g 陳皮15

2月11日 七診
患者の病情が穏定しているので,前方を継進。

2月13日 八診
患者は自主呼吸で,酸素濃度95%以上。飲食睡眠は正常,ベッドから降りて歩ける,動くと気促,乏力,舌苔厚膩。前方を継服。

2月14日,PCR 陰性,補気養陰,軟堅散結薬を持って退院。

2 病例分析
本案の患者は3日間で中医診断は一日一証,瘟疫の湿濁鬱肺から疫毒閉肺へ,更に内閉外脱証へと,迅速に伝変した。
三診時の 麻黄、杏仁、炙甘草の三薬は還魂湯《金匱要略》であり,后世又の名を三拗湯といい,肺気を宣降して,通陽の目的を達した。
此の時の麻黄は血圧を高くするが,生脈散、炙甘草を合せ入れることで,麻黄の副作用を消した;この外に,本もと汗出不止があり,麻黄で過汗の慮れがあったが,附子、山萸肉、黄芪、麦冬、五味子 等を配伍して益気斂陰固脱し,過汗を防いだ。
厚朴,杏仁は仲景の降気平喘の薬対であり(桂枝加厚朴杏子湯),麻、杏、草は三拗湯なので,宣肺平喘の功が勝った。以上の4薬は,肺気の閉を開くとはいえ,肺臓は宣発粛降の本である,もとより攻邪の意味である。疫病は“逐邪が第一の要義なり”。
本方では利水薬を使わなかったのに,強い利水力があった。これは桂枝去芍薬加麻黄附子細辛湯が,“大気一転して,其の気が散じた”ためである。
用薬の14味には,懸念すべき所が多い。攻補兼施,陰陽同調,上下兼顧,寒熱并用,重と軽,雑乱のようだけれど,王慶国教授の学術を根柢にしており,薬后1剤にして功を見たのは,まったく桴鼓の効といえる。
中药治疗COVID-19相关性急性呼吸窘迫综合征验案 より
※清肺排毒湯を使ったけれど、重症型へと急転した例。

|

« 蘇軾と聖散子方 | Main | COVID-19 急性呼吸窘迫2 »

治験」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 蘇軾と聖散子方 | Main | COVID-19 急性呼吸窘迫2 »