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慢性萎縮性胃炎2

前回報告した慢性萎縮性胃炎への追補です。
姚奇蔚(1916—2003)は江西南昌の人で,世襲の中医でした。
著作には《脾胃疾病常用治法和方薬》、《用薬十八法》、《中医治療学概要》等があります。
学術論文には《舒肺達肝法》や《慢性萎縮性胃炎は肝、肺と密切な関系がある》等の20余篇があります。
先生は特に肝・肺両臓の生克制化の理を重視しました。
“人の生は,気による;ゆえに治病の方法は,気を主としなければならない”との思想から,治病時には尤も肝肺の気機の宣降条達を重視しました。

百病は気から生じ,気鬱が多く,気鬱の諸病は,又 肝鬱不達が多い;肝鬱不達には,又 肺気不暢が常見される;肺気不暢と肺虚無力とは関係があり,肝鬱不達と肺虚不宣とは関係がある。
肺気を開かんと欲すれば先ずは肺気を補わねばならず,肝気を達せんと欲すれば先ずは舒肺しなければならない。
肺は清虚の体ゆえ,厚味であってはならない,故に姚老は補肺益肺には“運用通展,薬貴軽霊,軽撥機関”と提倡している。
処方には黄芪、北沙参、桔梗、甘草、桑葉、枇杷葉 等を多用し,黄芪、北沙参を合用すれば,不寒不熱,味薄気清であるから,肺気を補益しても壅滞はしない;桔梗、甘草を合用すれば,肺気を開提しても耗散することは無い。黄芪、北沙参の量は必ず20~50gと多くし,補開兼施により,肺気を暢張する。
姚老の治病法は辛平甘潤・清軽霊活の品で肺気を開くことと肺気を舒すことで,最終的には補肺気の目的を達成するのが最大の特色である。
姚奇蔚は萎縮性胃炎の治療にあたり益気建中湯か養陰建中湯を常用して,大変良い効果を収めている。

前回報告した益気建中湯は中陽不振・肝気升達無力・胃陽不足型の患者に相応しい。
今回追補する養陰建中湯は肺虚肝熱で胃陰が受傷した,胃陰不足型の萎縮性胃炎に相応しい。

養陰建中湯《姚奇蔚》
【組成】北沙参30 桑寄生・玉竹20 青黛10 懐山薬30 白芍10 石斛・焦山楂30 浙貝母10
【功能】養陰建中。
【主治】胃痛胃脹嘈雑灼熱,口干苦,舌質淡紅,無苔或いは少苔,脈細軟,これは肺虚肝熱で胃陰が受傷した,胃陰不足型の萎縮性胃炎である。
【方解】本方は、益胃湯《葉天士》―麦冬・冰糖+白芍・桑寄生・淮山薬・焦山楂・浙貝母・青黛。
全方は甘淡味薄,清虚霊達,滋して不膩,清して不勝,清滋の中に流動活躍の性で、養胃清肺・益気達肝の効がある。
【按語】“萎胃”の治療の,多くは肝胃から論治されている。姚氏は肝胃には——沙参、玉竹、山薬、石斛にて甘淡養胃し;白芍、青黛にて舒肝清肝したうえで,且つ腎養にも着眼した(桑寄生、補腎平肝)。これは“腎は胃の関”と,肝胃の相克を考えて,胃病なのに腎、肝から論治したものである。視野は開闊で,思路は清新である。
姚奇蔚 より

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