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周易と中医学15

(『周易と中医学』p141)
『周易』と交感理論
『周易』は陰陽相交・水火既済をきわめで重視する。例えば、既済卦☵/☲は水火相済、未済卦☲/☵は離坎未交、泰卦☷/☰は陰陽相交、否卦☰/☷は陰陽不交を表す。
『周易』の交感理論は中医学の心腎相交理論の淵源であり、心腎相交は五臓相関理論の重要な部分である。

「易経」の離卦☲は一水を二火の間に含み、坎卦☲は両水に一火を含み、水火相済の原理を示す。
『素問』陰腸応象大論篇の「地気は上りて雲と為り、天気は下りて雨と為る」は、大自然に天地陰陽の気交現象が存在することをいう。
漢代の張仲景は最も早く「易経」の水火理論を《傷寒論》に取り入れ、心腎相交理論を臨床に応用し、「心腎不交」の証の治療に有名な方剤一ー黄連阿膠湯(黄連・阿膠・黄芩・白芍・鶏子黄)を創製した。
心腎の協調関係が一度くずれると、水火は交わることができず、心煩・不眠・動悸・健忘・多夢遺精・足腰の冷えやだるさ・頻尿などの「心火は上に炎モえ,腎水は下に寒」という症状が現れる。

このほか、否・泰の二卦も陰陽の交感作用を反映する。泰卦☷/☰は象伝に「天地交わりて万物通ずるなり」とあり、否卦☰/☷は象伝に「天地交わらずして 万物通ぜざるなりJとある。上が乾で下が坤の否卦では陰陽は決裂するという。
高齢者の「下虚上実」は陰陽が交感できないという病理に属し、『素問』陰陽応象大論篇に「年齢が六十になると、陰は痿え、気は衰え、九竅の機能は減退し、下虚上実となり、鼻じると涙が出る」とあり、陰陽の交感が人体の生理・病理において重要な意味を持つことを示す。

張景岳は陰陽の調補を行なう上で、陰陽の相済作用を重視した。『景岳全書』新方八陣に「これもまた陰陽相済の妙用である。そこで、陽を補うには必ず陰中に陽を求めれば、陽は陰の助けを得て生化は窮まり無い。陰を補うには必ず陽中に陰を求めれば、陰は陽の昇の作用を得て源泉は謁きない」とある。

『周易』の陰陽交感理論に基づき、中医はまた、「陰陽相引」により心腎を交通させるという原則を導き出した。腎・心は水・火の臓、腎は陰中に陽を含み、心は陽中に陰を含んで、それぞれの陰陽を調整し、「孤陰は長ぜず、独陽は生ぜず」の理論に基づき、陰陽並用の原則を採用したものである。交泰丸が黄連と肉桂を並用しているのはこのためである。

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