« メール 舌痛 | Main | 下肢浮腫に鶏鳴散 »

黄帝派と扁鵲派

『古典のなかの〈治療世界〉』角屋明彦(著)
これは、黄帝、扁鵲、淳于意、華佗を扱った論文集ですが、二つの視点が面白かった。Photo_20210208085001

1.黄帝派と扁鵲派の二つの流れがあったこと。
黄帝派は「〈天〉の医療」で「部分から全体へ」進む。〈天〉とは、〈天〉の摂理ということで、天人合一の観点である。「部分から全体へ」とは、三部九候の脈診など。
扁鵲派は「全体から部分へ」「〈全〉の医療」で〈病名〉として全体をつかんだうえで施療する。また寸尺の脈診をいう。
この二つが合流して補完的に活用されているのが現在に伝わる中国医学である。

2.『史記』の扁鵲倉公列傳にある「斉桓侯望診説話」は有名な話です。
「ある時、扁鵲が斉に立ち寄り、桓侯を診察して病気の存在を奏上する。しかし桓侯は病気ではないと言う。その後、日をおいて扁鵲が診察するごとに病気の位置が深くなってゆく。それでも桓侯は相手にしない。最後には扁鵲は離れて桓侯を眺めただけで立ち去る。やがて、桓侯に自覚症状が出るが、扁鵲は既に斉を発った後であった。そして桓侯は亡くなる。」
この話で、病状の進行がタイミング良すぎるのは、人為が働いていた可能性がある。桓侯は病気ではなく、毒物に侵されていたのではなかったか。扁鵲はそれを画策した対立勢力の存在を見極めていたので、病根が既に骨髄に達している以上は今さら治療を開始しても及ばない。自分も潰されないうちにとすばやく斉の国を逃れ出たのではないか。その後、扁鵲は邯鄲→洛陽→咸陽というルートを辿って、東辺の斉から西辺の秦へと逃避している。

|

« メール 舌痛 | Main | 下肢浮腫に鶏鳴散 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« メール 舌痛 | Main | 下肢浮腫に鶏鳴散 »