« 王孟英4 | Main | 王孟英医案 感冒2 »

王孟英医案 感冒1

懐抱奇のある友が,積労の后 寒を感じて発熱した。医者は古方を用いるのが好きで,麻黄湯を進めた。すると目が赤くなり鼻衄が出,痰中には血を帯びてきた。継いで小柴胡湯を与えると,舌が干き乏津となった。
懐が之を診ると,脈の来るのが虚数で無力であり,これは労倦に陰虚を兼ねた候である。熱薬の誤投である。血を動かさずしてこのように液を竭きさせることが出来ようか?地黄湯を三剤連進して,血は止ったが,意識はまだハッキリしてこない。生脈散に,当帰、棗仁、茯神、遠志を加えたら,意識が戻ったが,舌にはまだ津を生じていない。
乃ち曰く:腎は五液を主り,肺は生化の源である。なのに滋陰益気の,両方の効が現れないのは,何故なのか?細思するに,麻黄の性は内を守らず,服せば竟いには無汗に至る,徒らに其の陰を傷り,口鼻から血を出したが,薬性は未だに発泄の作用が残っていて,津液が行らないのではないか。仍お生脈散に,葛根を加え、陳皮を引とし,遂に微汗を得,舌に津を生じた。その后は帰脾湯、六味丸にて痊えた。

兪震按:天地人は三才である,医者はその重要性を十分に認識しています。天道は予測するのは非常に難しく、天の運気は年々変化していきます。人の病いも之に応じ,推測するのは非常に難しい。然し夏は凉しい方がよく,冬は熱い方がよいのは,どこでも皆そう思っています。しかし地の水土は違います。懐氏はただ松江地方だけを言っていますが,嘉蘇でも,やはり同じでしょう。若し南京の人が傷寒を患えば,麻黄を用いる者は十のうち二三である。若し江北の人が麻黄を用いなかったら,全然効かない。まして陝西省の直隷ならどうですか?だから《内経》には散じて之を寒すのと,収めて之を温めるのと,同病異治の論があるのです。趙養葵曰く:太陽の人は,冬月と雖も身に棉を用いず,常に水を飲み,色欲が奔放で,大便は数日に一行しか無く,芩、連、梔、柏、硝、黄は,平気である。太陰の人は,暑月と雖も衣を離せず,飲食がちょっと冷たいと,すぐに腹痛泄瀉し,参、朮、姜、桂が,時期に合っている。此の両人は,各々体質が陰陽の一方に偏っており,又天令地気は支配できない。故に立方用薬は,千変万化であるから,麻黄一味に限らず推敲しなければならない。(兪震《古今医案按·卷第一》)
『王孟英评点古今医案』より
※インフルエンザに麻黄湯を使う日本の医師は、この医案をよくよく噛み締めよ。

|

« 王孟英4 | Main | 王孟英医案 感冒2 »

治験」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 王孟英4 | Main | 王孟英医案 感冒2 »