漢方

新華網の記事より

2020-03-11
新華網:新冠肺炎の恢復期の治療は?

肺脾気虚証:気短﹑倦怠乏力﹑食欲不振 嘔悪﹑痞満﹑大便無力﹑便溏不爽﹑舌淡胖﹑苔白膩。
治法:補益肺脾
処方:六君子湯加減(党参﹑黄芪﹑白朮﹑陳皮﹑半夏﹑茯苓﹑藿香﹑砂仁﹑甘草等)

気陰両虚証:乏力気短﹑口干﹑口渇﹑心悸﹑汗多﹑食欲不振﹑低熱或不熱﹑干咳少痰﹑舌干少津,脈細或虚無力。
治法:益気養陰
処方:麦門冬湯加減(南北沙参﹑麦冬﹑西洋参﹑五味子﹑生石膏﹑淡竹葉﹑桑葉﹑芦根等)

新華網:感染予防にはどのような方法がありますか?

①薬物予防:玉屏風散加減など。
②艾灸予防:艾香﹑艾灸。
③中薬香嚢や中薬足浴等。
④保健操:八段錦﹑五禽戯等。
⑤保健中薬:黄芪﹑霊芝﹑枸杞﹑西洋参﹑冬虫夏草等。

新華網:如何にして中医薬で免疫力を高めるか?

《黄帝内経》には“正気が内に存すれば,邪は干オカす可からず”とある。冬虫夏草、黄芪、霊芝、人参等はみな免疫力を増加し,呼吸を強くして抵抗力をつける。例えば,冬虫夏草が主成分の金水宝などがある。
中医药正深度介入新冠肺炎予防与治疗 より

| | Comments (0)

《時病論》の透邪思想3

3 透邪験案例
3.1 滋膩薬を誤用し,気機が閉塞した
云岫孫某,平素から痩せていて,吸烟する弱い体質だったが,咳嗽と熱渇を患い,半月ばかりになる。
前医は皆 陰虚肺損とした。服薬したのは,地、味、阿膠ではなく,沙参、款、麦だったが,治そうとすればするほど悪くなった。
其の脈を按ずると,搏大で有力,重取すれば滑数,舌絳苔黄,熱渇咳嗽であり,此れは明らかに風温の邪が,肺胃に盤踞したものである。
前方はみな滋膩のもので,益々気機を閉塞させ,邪は達解できない。暢肺,清胃のため,辛凉解表法(薄荷4.5 蝉蛻3 前胡4.5 淡豆豉12 栝蒌殻6 牛蒡子4.5)とし,芦根、花粉を加えて治した。服すること二剤で,胸は次第に寛ぎ,咳も暢快となり,気分が良くなった。脈を復診すると稍緩だが,まだ沈である。舌苔は化燥し灰色で,身熱は火の如く,口渇して不寐,此れは温邪の勢いがまだ衰えず,津液が被劫している。旧法を姑守し,薄荷を去り,石膏、知母を加入する。服すること三剤にして,肌膚から微かに汗が出,体熱は退き,舌上に津液が戻り,脈は緩怠に転じた。後は調補を続けて,次第に良くなった。

Continue reading "《時病論》の透邪思想3"

| | Comments (0)

《時病論》の透邪思想2

2 透邪方薬例
雷氏の治温の大法を綜観するに,“透“の無いものは無い。透法は実に衛気営血の全過程を貫いている。感邪と病程は異なる故,透邪の方法も各々異る。

2.1 辛凉解表法
風温の初起,風熱の新感,冬温襲肺の咳嗽を治すには。
薄荷(一銭五分),蝉蛻(一銭,去足翅),前胡(一銭五分),淡豆豉(四銭),栝蒌殻(二銭),牛蒡子(一銭五分)煎服。如し口渇あれば,再加花粉。
此の法は辛凉を取る。風温の初起を治すには,伏気の有無を論ぜず,皆先ず施すべし。
薄荷、蝉蛻を用いて,其の表を軽透し,前胡、淡豉は,其の風を宣解する。葉香岩 云わく:温邪を上に受ければ,先ず肺を犯す。故に蒌殻、牛蒡を佐として其の肺気を開き,気分が舒暢になれば,新邪も伏気も,均しく透達する。

Continue reading "《時病論》の透邪思想2"

| | Comments (0)

《時病論》の透邪思想1

清代の著名な医家である雷豊,字は少逸,著に《時病論》、《医博》、《医約》等がある。《時病論》全書は四時温病を主にし,兼ねて瘧痢泄瀉の諸証を論じ,実に温病学の重要な著作である。雷氏の温病治療は透邪外出に注意し重視している。《時病論》を綜観すると一書中に“透“の字が74ケ処も出現し,軽清透達の方薬を専ら使用している。

1 透邪内涵と機理
“透“とは,透達、透散、透発、宣透、通透の意で,軽清透達(散、発)の品を使用して,邪気を表からそのまま出すか裏から外へと出すか、深きから浅きへと出して解消する治法を指す。温病の透法を用いる主要目的は温病の“邪鬱“という病機に対してである。
温病の初起は,温邪は衛分に鬱遏し,発熱悪寒,無汗か少汗,咳嗽等は,温邪が気に入り,気機を鬱阻するので,壮熱、便閉,や身熱不揚,有汗不暢等を現す。
温邪が営血に深く入ると,血分を鬱阻し,身熱夜甚,吐血、衄血、斑疹等を現す。
温病の后期に,邪が陰分に滞ると,夜熱早凉,熱退き無汗等を現す。
更に温病の初起に薬が不当だったり,苦寒を濫用したり滋膩を過用すると,遂には邪鬱は解せず,纒綿として愈え難くなる。
凡そ此れは皆 邪が鬱っして外出の機が無いからです。故に凡そ邪気鬱結ありて透し難き証には,皆 透法を用いなげばならない。其の作用機理の主要は気機を疏暢し,透邪外出するに在る。雷氏は《時病論》の中で“透“の字を反復強調し,自らの創方した中で4个の方剤に直接“透“をつけて命名した。清凉透邪法、清凉透斑法、宣透膜原法、宣陽透伏法等の如し。并びに透法を以って終始 温病治療を貫穿しているのを,見ても其の透邪思想を重視しているのが分かる。
雷少逸!时病论"透邪思想浅析 より
※朝は軽く夜になると熱が高くなるのは既に温邪が営血に深く入っている。

| | Comments (0)

湿温病4

2. 湿熱并重証
・湿熱中阻‥‥王氏連朴飲(川連、梔子、厚朴、半夏、菖蒲、豆豉、芦根)
・湿熱蘊毒‥‥甘露清毒丹(茵陳、藿香、黄芩、連翹、薄荷、菖蒲、蔻仁、滑石、木通、貝母、射干)
・湿熱醸痰,蒙蔽心包‥‥菖蒲鬱金湯(菖蒲、鬱金、玉枢丹、竹瀝、滑石、木通、灯心草、菊花、牛蒡子、丹皮、梔子、連翹、竹葉) +至宝丹or蘇合香丸

3. 熱<湿 証
・胃熱夾有脾湿‥‥白虎加蒼朮湯

4. 后期余湿未尽証‥‥薛氏五葉芦根湯(藿香葉、佩蘭葉、鮮荷葉、薄荷葉、枇杷葉、芦根、冬瓜葉)

5. 湿邪化燥証:閉阻心包 傷絡便血‥‥犀角地黄湯加紫草、地楡炭、側柏炭

6. 湿邪寒化傷陽証‥‥呉氏四加減正気散(藿香、厚朴、陳皮、茯苓、草果、楂肉、神曲)
 寒湿重傷脾腎陽気‥‥薛氏扶陽逐湿湯(人参、附子、益智仁、白朮、茯苓)
 腎陽衰微,水湿内盛‥‥真武湯(茯苓、白芍、生姜、白朮、附子)
温病学 より
※湿>熱、湿熱并重、熱<湿 の三期のうち まだ邪が膜原にある時に透達・宣化することが肝要。

| | Comments (0)

湿温病3

湿阻膜原
“膜原”の詞は《内経》より起り,薛生白、呉又可、葉天士、雷少逸 らに皆 辨治があり,臨床価値は大きい。臨床上 胆道感染、壊死性淋巴結炎、免疫疾患、高熱不退 等は皆 此の辨証論治に則る。
病機病位:薛生白 曰く:“外は肌肉に通じ,内は胃腑に近く,三焦の門戸であり,実に一身の半表半裏也”。又説く:“膜原は陽明の半表半裏”,意味は一致する。胃は水穀の海ゆえ,一身の気血を主る,此れは足少陽、陰陽の枢なり。肌肉(胸中)—→膜原—→陽明。

Continue reading "湿温病3"

| | Comments (0)

湿温病2

湿温は湿と熱で相矛盾するものがセットになっているので、発熱は微熱が多い。また口干があっても飲みたがる程ではない。大便が数日無くても干結にはならない。湿熱が大腸へ迫ると下痢便になる。
湿温は上焦では、頭重・胸悶・感受性の昏昧となる。(匂いや味覚も)
中焦では、腹脹痞・悪心嘔吐・便秘か下痢になる。
下焦では、小便不通・陰部潮湿・便血となる。

湿温の辨証論治
1.湿>熱 証
・湿遏衛気‥‥藿朴夏苓湯(藿香・淡豆豉・半夏・白蔻仁・沢瀉・杏仁3 赤茯苓5 生薏苡仁6 猪苓4 厚朴2)、三仁湯(杏仁・半夏5 滑石・生苡仁6 通草・白豆寇・竹葉・厚朴2)
・湿阻膜原※‥‥薛氏方(藿香、蒼朮、菖蒲、半夏、柴胡、六一散)、呉氏方(黄芩、知母 芍薬、黄芩、甘草、草果)、雷氏宣透膜原法(藿香葉、半夏、檳榔、厚朴、草果、黄芩、甘草、生姜、黄芩、生姜、甘草)
・湿困中焦‥‥雷氏芳香化濁法(藿香葉・佩蘭葉3 陳皮・半夏6 大腹皮・厚朴3 鮮荷葉9)
・湿濁蒙上,泌別失職(蒙上流下証)‥‥蘇合香丸;茯苓皮湯(大腹皮、淡竹葉、猪苓、茯苓皮、生苡仁、白通草)
・湿阻腸道,伝導失司‥‥宣清導濁湯(茯苓、猪苓、寒水石、晩蚕砂、皀莢子)
温病学 より
※湿阻膜原がポイント、これはページを別にします。

| | Comments (0)

湿温病1

中医学では伝染性熱病を傷寒病温病に分けています。
風寒によるものを傷寒病とし、それ以外の熱病を温病とします。
今回の新型コロナウイルス感染症は中国では湿毒疫、湿瘟、寒湿疫など色々な呼称で論じられていますが、これらは広義の温病の範疇に入ります。
温病は 風温、春温、暑温、湿温、伏暑、秋燥、温毒 などに分類されます。
温病には季節性があり、これを“四時温病”という。たとえば温熱性のものは冬温(風温)、春温、暑温、秋燥など。また湿を兼ねると湿熱病として湿温、伏暑とする。
温病のなかでも強烈な伝染性を持つものは温疫といい、腫毒を伴えば温毒という。
我が国では傷寒についてはよく研究されていますが、温病についてはそれほどでもありません。まして湿温については殆ど論じられたことはありません。新型コロナが最も近いのは湿温だと考えられます。

湿温の特徴
1.発病時は 湿>熱 である。
2.発病や伝変が緩慢で、病程が長い。
3.病位は脾胃で、(衛気営血の)気分に稽留する。
温病学 より

| | Comments (0)

特別講座から得たもの

仝小林院士の特別講座で興味深かったこと。
・新型コロナの病因はウィルスだと解っても治療法が分からない。そのためには病機が分からなければならない。しかし過去の経験と歴史の中から、「邪が膜原に伏している」ところまで明らかにし、それに対する「一疫一方」が研究されたこと。
・湯液を大鍋で27000袋も煎じて5万人に与えたこと。
・中医学チームが680人も居たこと。
・すぐに製造化し、中葯顆粒剤を70万人分も作ったこと。
・感染初期こそ特殊処方が必要でも、後半は従来の傷寒・温病・温疫の薬が使えること。
・重症化した人が430人中1人も出なかったこと。
・基礎疾患や体質によって化熱・化燥・傷陰すること。(重症化)
・しかし中葯組では回復期から陽性転化したのが僅か 2.8%に過ぎなかったこと。(対照群は 15.8%)
※ニューヨークでは、一度治って退院後にまた再発するという復陽(再陽性化)が問題になっています。わが国でも退院後のサポートを問題視しなければならない。中国の回復期の処方を参考にして竹葉石膏湯エキスなどに注目したい。

| | Comments (0)

漢方診断 のやり方

例)ニューヨーク在住40代の“COVID-19に罹患した医師
3月17日(火)の夕方から少し倦怠感を自覚し、風邪の引き初めのような感じでした。
3月18日(水)後頭部の頭痛と倦怠感がありました。午後8時、36.6℃。
3月19日(木)後頭部の頭痛が継続する。激しい頭痛ではありません。同日午後7時は37.7℃、午後10時に38℃となり、明らかな発熱を自覚。上気道炎症状は全くなく、倦怠感と頭痛のみ。
3月20日(金)午後10時36.9℃。
3月21日(土)午前8時半、37.4℃。
この五日間の感染初期にどんな漢方処方を投与すればよいか?
咳嗽はまだ出ていないし、頭痛も激しくはない。発熱は出たり引っ込んだり、午后になって少々あったり。後頭部の頭痛と倦怠感のみ。
この後頭部の激しくはない痛みは「頭痛裹ツツむ如し」ではないだろうか?

試みに漢方診断をやってみよう。
本ブログの「参考」の所にある「漢方診断-症状」で「頭重」は「02-13」である。
これと温病の「」の二つをキーにして「漢方診断-800証」から「漢方診断-処方4」までを(サクラエディタで)検索する。
すると「漢方診断-800証候」から8.25寒湿困[蘊]脾証 寒湿内盛,困阻脾陽 がピックアップされてくる。
また「漢方診断-処方4」からは 湿温 邪遏衛気 藿朴夏苓湯 と 湿温 邪遏衛気 不換金正気散 がピックアップされてくる。
COVID-19中医方案より5 では、早期3.湿蒙清竅,湿困脾胃証 に藿朴夏苓湯が挙げられており、これとうまく一致する。
このようにして漢方診断を色々に工夫して使って欲しい。

| | Comments (0)

より以前の記事一覧