優良処方データーベース

下肢リンパ浮腫

乳癌や子宮癌の術後に起きるリンパ浮腫というのがあります。
これは癌の転移を防ぐために手術でリンパ節を除去(リンパ節郭清)したために起こります。
通常は片方の足が異常にむくみ、歩くのも困難になります。
足の指も足首も動かず、ふくらはぎはパンパンになります。
対策は脚を高くして寝たり、弾性ストッキングを着用したり、エアマッサージ器を使ったり、マッサージや理学療法を受けたりする事です。
しかし何をやっても全然良くならないという人が多いものです。

私も相談を受けて色々な処方を試してみましたがうまくいきませんでした。
この度ネット上で足[月行]消腫湯という処方にぶつかりました。

 (焦檳榔・牛膝4 茯苓7 生意苡仁10 木瓜・黄柏・防已・紫蘇梗・葉3 蒼朮・呉茱萸2 桔梗1.5)45.5

リンパ浮腫に影響を与えるには余程の事をしなければなりません。
この処方の特徴は檳榔子や牛膝・意苡仁という重質のもの、紫蘇葉という軽質のものを混ぜている事のほかに、寒性の黄柏と熱性の呉茱萸を併用している事です。
いわばハチャメチャなところがあります。

加減運用としては湿熱にも淤血にも対応があります。
だからリンパ浮腫のほかに下肢静脈瘤や血栓性静脈炎による浮腫にも応用できるのではないかと思います。
どなたか追試されたらどうかと思い紹介しました。

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鼻炎は胆経鬱熱が多い

鼻は肺の竅(穴)ではあるが慢性鼻竇炎ともなると肺からではなくて胆経から治さなくてはならない。
なぜなら鼻炎の初期は感冒外感から始まるが表熱が長引くとやがて裏へ入り胆経の鬱熱に変わるからだ。
胆経は上って鼻を犯し頭脳(鼻竇)を蒸灼するというのが中医の理論である。

鼻渊は又脳漏と称し,現代医学の急慢性鼻竇炎に相当する。
小儿の鼻渊の主要な発病機理は外感風寒、風熱,胆経鬱熱,肺気虚寒の三方面であるが,胆経鬱熱による鼻渊が臨床上もっとも多い。
胆木は最も風邪を悪み,外感風寒、風熱で表邪が解けず胆中に入ると鬱熱となる。

清代の医家で陳士鐸の著《辨証奇聞》には取渊湯というのがあり、辛夷、当帰、柴胡、貝母、梔子、玄参の六味薬からなる。
書に曰く:“胆は陽に属し,頭は亦陽なり。胆熱は久蔵されず,必ず熱は上走して頭に移る。脳は頭中に在りて,頭は蔵熱の処にあらず,小さな穴(経穴)から入り,大きな穴(竅)から出る,鼻がそれである。
六味薬の中,当帰の用法が最も巧みであり,原方では補益脳気の意味で大量に使う。張教授は小儿の鼻渊を治療する時,当帰を20gとする。
《聖済総録》に謂く:“脳は髄海なり,蔵するばかりで瀉するものはないのだが胆熱が脳に移ると,蔵した者も瀉される。
それで脳液が鼻から下滲して,劇症の時はあたかも水源から下るように濁涕が下りて已まない。”

それゆえ張教授は,鼻渊は脳液が尽く出てしまうから,脳気を大補しなければならないし,又脳液が直かに流れると,髄は精を作らないので,精が少なくなり,大腸に分布されず干燥する,故に当帰を大用するのは補脳添精の功と,滋潤腸燥の益を図っているのである。
全方は清宣と補瀉を并用し,胆火を消し脳気を盛んにすれば,濁涕は止り鼻竅は通ずる。
張教授は本方を鼻渊に応用しており臨床では鼻塞が厳重で,黄緑色の流涕や,血を帯びるのや,質が稠で気味が濃重で,舌紅苔黄,并せて煩躁易怒を伴い,頭暈口苦の症状がある。
もし肝胆湿熱の重い者なら,竜胆瀉肝湯を合用し肝胆を清瀉し,利湿開竅する。

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活絡効霊丹の応用1

活絡効霊丹の応用例  作者:黄存垣,楊君柳, 江西中医薬 : 2003年3月25日

活絡効霊丹は張錫鈍(1860-1933)の《医学衷中参西録》中に出てくる処方で、気血凝滞による心腹疼痛、腿疼臂疼、跌打淤腫、内外瘡瘍及び[病<暇-日-丙]積聚等を治すものです。

活絡効霊丹 当帰・丹参・乳香・没薬

1 坐骨神経痛
肖某某 ,男 ,1993年 4月初診。
左側の臀部が疼痛して 1个余月になる ,痛い時は左足の小腿に牽引し ,足跟も亦痛む ,行歩すれば加劇する。
飲食、二便は正常 ,脈弦 ,舌質はやや暗紅。

処方 :桑寄生20 ,全当帰・川牛膝・丹参15 ,川断12 ,生乳香・生没薬・陳皮・木瓜・大伸筋・五加皮10

上方 4剤 を服すと,症状は減軽した ,再服して 10剤に至ると ,症状は大いに減った。
原方に金毛狗脊 2 0g を加えて,再服すること 10剤 ,これで痊愈した。

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并提湯

【方名】并提湯。

【辨証】腎気(陽)不足。

【治法】補腎気,兼補脾胃。

【組成】 (熟地・巴戟・白朮6 人参・黄耆3 山萸肉2 枸杞子1 柴胡0.5)27.5

【用法】水煎服,毎日1剤,日服2次。

【出処】《傅青主女科》卷上。 (六)

【辨証】陰陽両虚。

【治法】補益腎気。 ...
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并提湯は 《傅青主女科》傅山着・清(上卷) にあり、「胸満不思食不孕」に用いる。

婦人で飲食を思わず,胸膈が満悶し,終日倦怠で睡く,ひとたび房事を経ると,つらくて呻吟している人がいる,
一般に脾胃の気虚と考えて,誰も腎気不足だと知るよしもない,
気は升騰するに宜しく,消降するのは宜しくない,
上焦に升騰すれば,脾胃は分運し易く,
下焦に降陥すれば,脾胃は運化が困難である,
水穀の養が乏しければ,精神は自ら倦怠となる,
脾胃の気は升るのが良くて降るのが良くない,
然し脾胃の気は,脾胃の中で充つるといえども,実は両腎の内で生ずる,
腎中の水気が無ければ,胃気は升騰しないし,腎中の火気が無ければ,脾気は化生しない
ただ腎の水火二気があってはじめて,脾胃の気は升騰して降りない,
然し脾胃の気を補うには,急いで腎中水火の気を補うだけではダメで,
治法は必ず補腎気を主とするも,補腎に補脾胃の品を兼ねなければ,腎の水火二気は至陽に上らない,方は并提湯を用いる。

胸満して不孕を,人は脾胃虚寒と誤って,克食できないのに,扶脾消導の薬を用いると,腎気は愈虚する,受孕できるものではない,コツは峻補腎火してはならないから,桂附等の薬を用いないことだ,
専ら補腎気して,脾胃の気をふたたび下陥させなければ,帯脈の気は充実し,胞胎の気は暖まり,自然に受孕して障りが無いだろう。

大熟地(一両九蒸),巴戟(一両塩水浸),白術(一両土炒),人参(五銭),黄耆(五銭生用),山萸肉(三銭蒸),枸杞(二銭),柴胡(五分)

水煎して,三ケ月服せば腎気は大いに旺んになる,さらに一ケ月再服すれば受孕しない者はいないだろう,
此の方は補気の薬のほうが,補精よりも多い,
補脾胃を主にするのは,脾胃が健になれば,精を生じ易いからである,
脾胃の気と血を補うのは,腎の精と水を補うことでもある,
また補精の味を増やせば,陰気ともに足りて,陽気は升り易くなり,上焦に騰越し,陽気は下陥しない,
すなわち大地に陽春なければ,化生の機なく,受孕の理もありえない。

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補陽還五湯

【出典】 王清任 『医林改錯』

脳梗塞に有効な薬方があるのを知らないで、リハビリだけを頼りにしている方々に知って貰いたくてこの処方を紹介します。

王清任の説明によれば、人身の陽気を十とすれば左右に各々五づつが分布している。
脳梗塞によってどちらかの半身でこの陽気から2分の1が欠けると半身不随が起こる。
この処方は補気薬と活血薬の配合により血行改善をはかり、欠けた2分の1の陽気を回復し、元の五に返すので還五、すなわち補陽還五湯と名づける。

本方は脳梗塞・中風の后遺症・脳外傷・坐骨神経痛などに広く用いられます。
その内で面白いのは脳血管病のもたらす“複視”にも効果があることです。

朱進忠先生医案

 刑XX,男,三ケ月前,右前額に外傷を受けた後,右眼の視力が明らかに下降して,視一為二(複視)となった。某医院の診察では動眼神経麻痺とのことである。
診れば右眼瞼は下垂し,外斜視と,瞳孔散大になり,対光反射と調節反射が消失し,眼球は上を向いている。
舌苔は白く,脈は右が虚大で弦,左が弦渋で不調である。
これまでに用いられた諸方の多くは活血の薬草だったのに効果が無かった。
跌打損傷は当に活血通絡すべきであるが,然し今は其の右脈が虚大で弦,大なるは虚である。

東垣は次のように説明している。
「気口の脈が大で虚なる者は,気の内傷である。当に益気培本,活血通絡を以って標を治すべし。」
そこで処方は補陽還五湯を用いた。

黄耆30,当帰12,赤芍12,川弓,地竜,桃仁,紅花各10

薬を進めること三剤にして,視力は驟かに増し,運動も好転してきた。
再に進めること10剤にして,眼珠運動は基本的に正常となり,視力も正常となった。
瞳孔も以前に等しい大きさになっている。
なお継進すること10剤をもって再発しないようにした。

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妙香散

うつ病に使える漢方薬の一つに妙香散があります。
これは帰脾湯とよく似た処方で、次にその構成を比較してみます。

帰脾湯 : 木香 白朮 当帰 茯苓 黄耆 遠志 人参 竜眼肉 酸棗仁 甘草

妙香散 : 木香 山薬 茯神 茯苓 黄耆 遠志 人参 桔梗 甘草 辰砂 麝香

帰脾湯に含まれている「白朮・竜眼肉・当帰・酸棗仁・生姜・大棗」は養脾と不眠への配慮で、妙香散には含まれていません。
一方、妙香散に含まれている「山薬・桔梗・甘草・辰砂・麝香」には“固腎”“安神”“解鬱”の意味があり、最も量が多い主薬の「木香」には“舒肝健脾”の働きがあります。帰脾湯にも木香はあっても少量です。

妙香散の出典である《太平恵民和剤局方》は次の通りです。
【功用】補気寧神,行気開鬱。
【主治】心気不足,志意不定,驚悸恐怖,悲憂惨戚,虚煩少睡,喜怒无常,夜多盗汗,飲食无味,頭目昏眩,梦遺失精。

帰脾湯の出典である《正体類要》は次の通りです。
【功用】養血安神,補心益脾,調経。
【主治】思慮傷脾,発熱体倦,失眠少食,*征冲驚悸,自汗盗汗,吐血下血,婦女月経不調,赤白帯下,及虚労、中風、厥逆、癲狂、眩暈等。

両者の最大の違いは、“解鬱”が有るか無いかです。

うつ病を治すには“解鬱”作用が必要です。
よく使われるのは「柴胡」ですが、四逆散・加味逍遙散・柴胡加竜骨牡蠣湯などでは対処しきれない場合が多くあります。
そんな時にこの「木香」の入った妙香散の“解鬱”作用が役に立ちます。

妙香散の【集注】汪昂曰の解説では、
心は君火である,君火が一たび動けば,相火も之に随う,相火は肝胆に寄寓している。
(相火が燃えて)腎陰が虚せば,精は蔵されず。
(相火である)肝陽が強まれば,気は固められず,故に精は脱して夢遺となる

【按】朱震亨云の解説では、
秘蔵をつかさどるのは腎で,疏泄をつかさどるのは肝です。
二蔵には相火というものがあり,上は心につながり,心は君火に当たります。
物に感ずれば動きやすく,心が動けば相火も翕然と燃え上がります。
二つが交会すれば,精は暗流して滲漏するばかりです。
だから平生から精力を守るにはただ補陰を以って相火を制することです。

※私は今“パニック症状”に応用できるのではないかと注目しています。

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甘露消毒丹と湿疹

 甘露消毒丹は《温熱經緯》に出ている処方で、組成は白豆寇・霍香・茵陳・滑石・石菖蒲・木通・黄岑・連翹・川貝母・射干・薄荷です。
効能は清化湿熱・解毒・宣通気機で、“湿温病”で邪が気分にある時、または湿熱并重の“湿温時疫”などの流行病に常用する処方です。
それを筆者(陳太日)は外科病に応用して成果を上げ゛ました。

湿疹
 何某、男、35歳、1995年6月15日初診。
患者は10日前に両方の大腿内側の皮膚に紅疹が現れ、奇痒があり、掻いていたら次第に広がって斑状になり、水泡が現われ、破れて黄汁が出た。
局部は熱灼痛があり、西洋薬治療して無効だったので中薬治療に転じた。

症見: 両側大腿の内側皮膚は紅く灼熱して斑疹状になり、部分的に水泡があり汁が出て、ずっと陰嚢の方まで及んでいる。

その他の所見: 口苦く食欲不振を伴い、便秘、尿黄、舌紅、苔黄膩、脉滑数である。

診断: 湿毒倶盛の湿疹である。

治療法: 清化湿熱・解毒止痒。

処方: 甘露消毒丹加減。
 滑石・茵陳・意苡仁・白鮮皮・秦皮各15g 石菖蒲・黄岑・木通・川貝母・竜胆草・大黄・連翹各12g 白豆寇・霍香各8g 蒼朮・牛膝・射干各10g。

6剤を連服したら紅く灼熱した感じが消退し、水泡も消失して好転しているのが分かり、患部の結痂も脱落しはじめた。

2診: 処方から大黄を去り、生地黄・赤芍各12gを加えて、更に5剤を服用して全治した。

: 湿疹の成因の多くは外部からの“風湿熱”の邪が肌膚に取り付くか、脾胃虚弱・消化機能の減退で“水湿”が肌膚に停滞した所へ熱邪を感受して出来るものである。
筆者は甘露消毒丹の清化湿熱・化濁解毒の作用へ竜胆草・牛膝等を加えて引経薬とし、また蒼朮・意苡仁の燥湿健脾作用と白鮮皮・秦皮の清熱去風止痒作用を合せたため充分な效果を得ることが出来た。

  新中医(1999年 第2期 第31卷 Vol.31 No.2 1999)

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風牽偏視 (動眼神経麻痺)

ほう賛襄主任医師験方
羌活・防風・荊芥・白朮・枳殻・柴胡3.5 当帰・赤芍・川弓・木瓜4 甘草2

案例 46歳男、十日前からものが2つに見える。眼が斜視になり、頭目に激痛ある。頚項は強ばっている。左の上瞼が垂れ下がり、眼球が外へ向いたきり動かない。舌は淡紅、苔は薄白、脈は弦である。上方を4剤飲んだら頭目の痛みが減り、すこし瞳の距離が縮まった。更に7剤飲んだ後、眩暈と上下の瞼垂があったので上方に 黄耆10 党参4 を加えた。鍼治療も加えて一ヶ月間の治療でほぼ治癒した。 [中医雑誌]

 『全国名老中医験方選集』 学術書刊出版社 1989年

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帯状疱疹後遺神経痛

顧伯華 教授験方
(当帰・延胡索・丹参4 赤芍・黄耆・沢蘭・紅花3 乳香・没薬2 益母草10)38g

案例 73歳女、右腰部に帯状疱疹ができ、西医の治療を受けて皮膚は元通りに治ったが、いつまで経っても痛みが残った。脈は細渋で、舌苔は薄く、舌の色は暗紅である。
上方を5剤服用したら痛みがかなり軽減した。ただし食欲が減り、胃がむかむかした。
そこで上方から乳香・没薬を去り、香附子3 鬱金4 を加えて、更に7剤を服薬したら遂に痛みは消失した。 [上海中医雑誌]

   『全国名老中医験方選集』 学術書刊出版社 1989年

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