古典

膀胱の気化作用とは

「素問、霊蘭秘典論第八」 にある「膀胱者,州都之官,津液藏焉,氣化則能出矣」というくだりをどのように解釈するか?
まず州都とは城市(都市)のことで、辺地から中央へと川の流れが集まる事を意味する。
城市では出入に関所が設けられているように、川の流れも一旦水門によって貯められる。
それで膀胱は政府の官職が行う水門の開閉によって集聚した水液を管理しているのである。
気化作用といえば「水が気化して水蒸気になる」ことを意味している。
だから従来の解釈では気化を腎の透析機能そのものと看做してきた。
しかし気化が腎だけではなく肺(肌表)や肝によっても行われることを見逃してはならない。

医案例1
3歳の男子、時邪疫毒に外感した。
発熱38℃、全身および目が鮮明な黄色となり、口渇あり、小便短少で色は黄赤、大便は秘結し、顏色は灰白色で、腹が膨張している。舌苔は黄膩、脈は弦数。

弁証
陽黄で、熱が湿よりも重い。急性黄疸型伝染性肝炎。

治法
太陽を開き湿熱を清すれば、発汗利尿して太陽・陽明に遏伏する湿熱が両解しよう。

方薬
麻黄連翹赤小豆湯
 麻黄3 連翹・杏仁・鶏内金6 桑白皮・枳殻・大黄5 茵陳蒿9 赤小豆10

 一週間で諸症は癒えた。

解析
淤熱が裏にあるのに表が塞がっているから急性黄疸型伝染性肝炎を起こした。
苦寒清熱の薬が行くところではない。
太陽の表を開き湿熱の裏を清して、肝胆および皮膚内の湿熱病毒を追い出さなければならない。
茵陳蒿は気分薬で陽明に遏伏する湿熱を清し、また太陽膀胱に入り気化を助け、発汗利水・利胆退黄に働く。

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火2

" 陰虚火盛なら, 壮水にて治し, 陽虚発熱なら, 益火にて治す。" 明・張介賓《景嶽全書・雑証謨・火》

按: これは皆内火を指す, 内火が生ずるのは陰虚か, または陽虚による。
陰が虚せば火旺となる, 下焦の相火が妄動する, 此の火が生ずるのは肺腎両虚による。

陽虚でも火を生ずる, 此の火は陰盛陽衰, 陽虚不納で生ずる无焔の火である,
此の火は无根ゆえ, 虚陽であり陰寒が作ったものである。

其の証には三つある,
一は下が陰盛で, 陽を上に押し上げた, 戴陽証;
二は内が陰盛で; 陽を外に浮上させた, 陰盛格陽証,
三は中気不足で陽が陥下した中寒下熱で, 二便は反って短渋する.

治法は, 陰虚者には.滋陰降火, 壮水制火を,
陽虚者には, 納気帰元, 温陽去寒, 火を補って火を治す。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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火1

" 人火は正治して, 竜火は反治する。人火は凉平し, 竜火は火で逐いはらう。" 元・朱丹渓《丹渓手鏡・喉痺》

按: 両者はみな内火の治法である。
人火とは, 即ち心火, 上焦の火で, 多くは実火であるから, 実火を治すには正治法を用いる。
即ち治熱には凉を, 治火には寒を用い,直接に其の火を清し, 其の熱を平らにする。

竜火は又竜雷の火とも称し, 離位の火で, 陰火とも称する。
陰火を治すには反治法を用いる。
即ち火で火を治すか, 或いは補気升陽するか, 或いは納気帰元する。
薬用には甘温か或いは辛熱を用いる。
何故なら不足の火に属するので, 其の不足を補えば,則ち火は自ら帰宅する。
たとえば補中益気湯の甘温除熱, 桂附八昧丸の引火帰元は.皆これら反治法に属する。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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風 3

" 経絡から府へ及ぶか, 浅深, 表裏の邪を分けて治し, 大いに金石を忌む." 明 喩昌《医門法律 巻三》

按: 風が経絡、臓腑のいずれに中るか, 深浅の別が有る, 治療には其の表裏を分けて其の風を捜除しなければならない,
治風薬は軽清でなければ病所に達することができないし, 流動性でなければ表裏の間を運行することができない。
若し金石類の薬物など重墜の品だと, 反って邪を深みに入らせてしまうから, 最も禁戒とする.

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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風 2

" 中風の外証は一証ではない, 風火相煽すれば, 多くは高巓に上る, 風湿相搏てば, 多くは四末に流れる。手足麻木は, 但気虚に属する。関節腫痺は, 湿痰凝滞なり." 明 喩昌《医門法律 卷三》

按: 風の外証への進行鑑別。
風火相合すれば, 発病の多くは頭部に在り,頭は身の高巓なり。
風湿相合すれば, 多くは四肢以下に流走する。所謂" 風淫四末"である, 風が湿を挾むと流動するので, 風湿が脾を犯すと, 脾は四末を主どるゆえ.手足の麻木となる,
肢体の頑麻は風[病<奐-丙]であり、これとは違い, 但気虚に由る, 気血不達のせいである。
だが関節の腫疼は, 風に非ず、気にも非ず, 痰湿凝滞に由る, 気血不暢のせいである。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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《傅青主女科》の扶正解鬱観2

2 健脾理気解鬱法

《難経・十四難》に曰く:“肝を損する者は,中を緩めよ”

傅氏は此れを頗る重視して,常々甘緩理中健脾法と辛温升陽疏肝法を并用して,木鬱克土或いは土不栄木による帯下や、年老経水復行、経行大便下血、妊娠悪阻、妊娠浮腫、産后肝萎及び乳汁不下等の病を治療した。

たとえば《女科》に在る婦人の土虚木乗の帯下を治すための開卷首方の“完帯湯”の中では,人参、白朮、茯苓、甘草等の甘温甘平薬を重用して健脾補中し,其の元気を扶け,少しの柴胡、荊芥穗の気味清芳之品を佐薬として,疏肝達鬱しているのは,“風木を地中で閉塞させなければ,地気は自ら天上へ升騰する”という理からであり,

さらに酒炒白芍の酸薬を加えて,養血柔肝しても,其の柔薬を滞らせず,斂中にも散が有るようにする為である。
《女科》で論ずるに:“此の方は脾胃肝の三経を同治する法で,散の中に補があり,升の内に消がある。肝木の気を開提しても,肝血が燥かないので,下克脾土にはならないし;脾土の元を補益すれば,脾気は湿らず,水気を分消する事は難しくない”。
傅氏は肝と脾胃の密切な関系を重視している。
脾胃は中焦に居り,気機升降の枢紐である,
脾が虚せば湿は聚り,湿が盛んなれば脾陽不振になる ;
肝は条達を喜び抑鬱を悪む,肝鬱すれば木横し,最も脾土を乗侮し易い。
此れは “湿が盛んなれば火は衰え,肝が鬱すれば気は弱まる”という所謂である。
だから傅氏は脾胃を実する薬と疏肝の品を合用して,木土が互いに安んずるようにしている。此のように,健脾することが即ち疏肝解鬱の重要な一環だと分る。

筆者(千手堂主) は臨床で肝鬱日久の婦科病患者を見るにつけて胃[月完]脹痛、食后腹脹、[ロ愛]気不舒、大便溏薄、或いは大便時に干 時に溏、舌淡胖、辺有歯印、苔薄膩、脈細弦等の症状を現しておれば,傅氏の理論に従い,疏肝する時も,脾胃を顧みて,常に異功散、香砂六君丸等を合用し,往々 事半功倍の効を収めている。

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《傅青主女科》の扶正解鬱観

《傅青主女科》では婦産科の疾病を論治する時、三臓を重視し,中でも扶正解鬱観は重要な部分を占めている。

《女科》では,女子は“血を以って主と為す”“肝腎を以って先天と為す”と認めている。
婦科の病症を看るに,肝鬱に因る者が,実に多く,且つ肝鬱が解けないと,肝陰を暗耗し,気滞が重くなり; 或いは熱火に化し,横逆して竄犯し; 或いは伐脾傷腎をなし; 或いは淤血と痰を生じ,諸変を叢生し,症情は復雑化する。

肝鬱の証を治すにつけて,《女科》では解鬱を強調しても扶正を忘れてはいない; 理肝したら柔肝を忘れなず; 疏肝理気したら,滋陰養血を忘れず; 本臓を調肝したら,扶脾益腎を忘れない。(まとめると次の様になる。)

1 養陰柔肝解鬱法
2 健脾理気解鬱法
3 滋水清肝解鬱法
4 温腎疏肝解鬱法

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とくに温腎疏肝解鬱法について述べる。

腎陽は,五臓の陽気の本である。
女子は経孕産乳すべては腎水を本とし,腎火を用としている。
腎火が衰えなければ,胞宮と胞脈は温煦であり; 腎気は充盛で,肝気は舒びのびする。
肝気が達しなければ,腎気も亦鬱する,故に《女科》では常に温陽益腎の品には,疏肝の剤を加えて,肝腎の鬱を開き,気機を暢達する。

本法は腎陽不足,肝鬱気滞による経水数月一行、経前乳脹、結塊、不孕等の症に適用される。

傅氏は“并提湯”を脾腎の陽気を大補するのに用いている,
九蒸大熟地、巴戟天、炒白朮各一両,人参、黄耆各五銭に,并せて柴胡五分を稍稍参入させて,挙陥,疏気鬱を図っている。

傅氏の補火の諸方を観ると,一般に附桂の辛熱を用いず,常に菟絲子、杜仲、巴戟天、仙霊脾等の流動の品を選んでいる。
此の品は温潤平和で,温めても燥かさず,補っても滞らず,陰精を消耗せしめないので,陽気は陥らない,“大地が陽春ならば,生機は自ら旺ずる。”というのが傅氏の解鬱観の新しいところである。

一般には,肝鬱すると化火し易く,清肝すると傷陽し易いし,温補腎陽の品も又助熱助火し易いので,用薬が頗る難しい。
傅氏の温腎疏肝解鬱法を学習した后では,臨証選薬に斟酌すべきところが分る,
当に疏肝しても耗気傷陽せず,温陽するにしても辛熱助火の味を用いない。
かくの如くして肝腎を兼顧し,陰陽を平衡させれば,沈痾も立どころに解決する。

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風 1

" 風は, 百病の長なり。" 《素問・玉機真臓論》

: 風は外界の主要な病因であるが, 風は只単独では発病しない, 常に他邪を兼ねて人体に侵入する。たとえば風寒、風湿、風火、風燥などとなって。
若し疫毒火熱を兼ねれば風毒, 風湿を病むことになる。
ある種の病原微生物も, また風の勢いを借りて侵入する。

風性の軽揚なるにより, 善く行りしばしば変り, 其の鼓蕩漂揺の性は, 達せざる処無し, 其の発病は非常に広汎である, 因って此のように「風は百病の長なり」と論断される。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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臓腑病機 5

" 肺は一身の表を主り, 肝は一身の裏を主る, 五気の盛んなるは皆肺より入り,七情の病は, 必ず肝より起る。" 清・王孟英 《柳州医話》 王民按語

: 肺は気を主り, 外では皮毛に合し, 外感する六淫の邪は, 或いは皮毛より, 或いは口鼻より, みな必ず肺経より入る, 肺気が表で実しておれば, 気機は宣暢しており, 容易には邪を受けない, 肺気が宣暢していなければ, 外邪は虚に乗じてすぐに入る。

肝は血を蔵し疏泄を主る, 内傷の七情は, 先ず肝気を触動する, 肝気が鬱すれば裏気は皆鬱する, 肝気が逆すれば気血は乱れ,升降は失常し, 気血は怫鬱し, 六鬱の病は相い継いで生ずる。故に内傷の諸疾は, 常に肝より起る。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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臓腑病機 4

" 体に湿が多ければ脾は必ず弱まり, 性来の酒好きは肝が必ず過旺となる。" 現代・秦伯未 《清代名医医案精華・金子久医案・咳嗽》

: 生まれつき湿盛の人は, 脾陽が必ず弱く, 脾が湿を運ばないので, 内湿が必ず盛んになる。
酒の性は辛熱であり酒を嗜む人は, 内熱を生ずる事が多い, 酒は五谷 (穀) の精 (エキス) で, 陽熱の性を稟け, 最も肝気を激動し, 火熱となり易い, 肝経の蘊熱が長く続くと, 肝陰は必ず傷つき, 肝陰が損なわれるにつれ, 相火は愈旺んになる。
故に陰虚陽亢の人は, 尤も醇酒を多飲すべきでない, また生まれつき脾虚で湿が盛んな者は, 酒が又湿を助け熱を生ずる事になる。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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臓腑病機 3

" 谷 (穀物) を食べて安んずる者は長引いていても生き, 谷を食べて安んぜられない者は遠からず死す。" 明・江[王崔] 《名医類案・遇風・淳于意案》

: 疾病の預后の善悪や, 活きながらえる期間は, 患者の胃気の存亡を視て定めなければならない。
病いが険悪でも, 食が進むなら, 食を得るごとに病いは滅び, 長引いていても命を殞ずることはない;
病いが険悪でなくても, すでに食が進まないなら, 食を得るごとに病いは劇しくなり, 必ずや遠からず歿するだろう。人命は胃気が有れば生き, 胃気が无ければ死ぬ。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

※ 抗生剤や抗がん剤など胃気を損じやすいものを使う時には、医師は病人本位の立場でやって欲しい。

たとえ一定の効果に至らずとも、食欲に著しい減退があったらいつでも中止するつもりでいて欲しい。

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臓腑病機 2

" 太陰の湿土は陽を得て始めて運行し; 陽明の燥土は, 陰を得て自から安し。" 清・葉桂《険証指南医案・便閉》

: 脾は湿土で, 陰土なり, 其の性は柔緩である, 故に温を喜び燥くのが宜しい, 能く到燥の薬を受ける;
胃は燥土で、陽土なり, 其の性は剛燥であり, 能く柔緩の薬を受ける, 剛燥の品で, 助陽化熱するのは宜しくない,
故に脾は陽和温運の品を得て健運となり, 胃は陰柔の品を受けて息息と下行する,
脾陽は傷つきやすく胃陰は欠乏しやすい, 用薬には偏陽と偏陰の区別がある。
胃陽を養うには柔薬を用いる, たとえば甘平, 甘凉の品で, 胃津を滋し胃液を助ける。
脾胃を分治する法は, 葉氏の臨床善用の活法である。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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臓腑病機 1

" 陽明の胃土は, 少陰の心火に随って生じ, 太陰の脾土は, 少陰の相火 (腎火) に随って生ず。" 明・趙献可《医貫・五行論》

: 心火を補って胃土を生ずる外に, なお帰脾湯の一法がある。
木を補う事で火を生じ, その火を藉りて土を生ずるのである;

太陰の脾土には, 腎陽を補い, 相火を助ける法で, 脾土を温養するのは, 少火 (壮火に対して) は気を生ずるという意味からであり, 八味丸は即ち是の補火生土の方である。
同じ補火生土でも, 一は心火を補って胃陽を助け, 一は相火を補って脾陽を温める, 両法は途が異っても同じところに帰する, ただ脾胃の別があるだけで。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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精、気、血、痰、鬱 2

" 痰が血を挾むとついには[穴/果]嚢 (筋腫や粉瘤など) と成る。風痰に奇証多し。" 元・朱丹渓 《丹渓治法心要・痰》

: 痰を治すのは難事ではない, 難しいのは痰と血の混交した時であり, 尤も難しいのは頑痰が宿血を挾む時である。
宿血とは死血なり, 死血とは離経の血なり。若し頑痰と宿血が混交すれば, 死血は消し難く痰は益ます頑固になっている, 故に久しく臓腑に蓄わえられると[穴/果]嚢の患と成り, その根蒂は深く固い穴に在るので, 其の痰血を外達させる路は無く, 実に臨床では難愈の痰である。

風痰の病は風勢を借りており, 風は痰の威を助けて, 臓腑内外に流竄させ, 皮裏膜外, 達せざる処がない, 故に" 風痰に奇証多し" 、" 百病は皆痰に因って起こる" という説が有る。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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陰陽昇降3

" 肝気は升り, 胆火は降るのが順である。 然し脾気が上行しなければ肝気は升らないし,胃気が下行しなければ胆火も降りない。" 近代・張錫鈍《医学衷中参西録・卷三・論肝病治法》

按: 肝と胆, 脾と胃は一臓一腑で互いに升降を担当する。 臓は精血を蔵し升り, 腑は伝化を主り降るのが順である。 降胃すれば即ち能く泄胆するし, 升脾すれば即ち升肝できる。故に肝胆と脾胃は常に同治の法となる。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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精、気、血、痰、鬱 1

安倍さんの憔悴した姿は見るに忍びなかった。
中医学では、精神 (こころ) の疲労は物質の精・気が両傷したからで、五臓の心を養うことによって回復出来ると考える。
‥‥‥

" (五臓の)心が乱れれば神(精神)が疲労する, 神が昏ければ気は衰える。 さらに精・血が枯竭すれば, 精・気が共に離れ, もはや人の形体は保つことが出来ない。" 明・章[シ黄] 《図書編・神気為臓腑之主》

按: 精、気、神、これを三位一体という。気は能く精を生じ, 精は能く神を生ずる。 だから精が不足すれば気は乏しくなり, 気が不足すれば神は疲労する。傷精はすなわち奪気・奪神である。

神とは精・気の外露である。故に(五臓の)心が乱れれば神(精神)が疲労し, 神が昏ければ気は衰える。 若し精・気が両傷すれば, 神は養われず萎靡し, 人の形体は主が居らなくなり頽敗する。

心、神、精、形の四者は相互に依存している。
(五臓の)心は神を蔵し, 神は能く形の役となる。
神は精によって養われ, 精はまた形体の生長と発育を促進し, 人体の内外を保持完整させ統一を図る。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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陰陽昇降2

" 陰陽相得, 其気乃行, 大気一転, 其結乃散, 実則失気、虚則遺尿、名曰気分。" 《金匱要略・水腫病脈証并治》

(陰陽調和していれば気がよく行り、大気が一転するや結はたちどころに散ずる。実結なれば気を失うし、虚結なれば遺尿する。名づけて気分<気の分野>と曰う。)

ここの所を従来の翻訳は間違ってきた。
たとえば金匱会診療所で発行した『漢方精撰百八方』の七人の著者の内の相見三郎氏は次の様に解説している。

 桂姜棗草黄辛附湯
しかしここで陰陽が調和を得れば共の気すなわちめぐる(行)で、身体全体の健康状態が恢復ずる。つまり大気一転、其の気が散じて、さっぱりと治ってしまうというのである。気分というのはこのような症状を呈するもので、実証の人は腹満していたのがガスが出てなおるし、虚証の人は尿利がついて楽になる。
 気分というのは今日の言葉で言えば自律神経失調症というものであると思う。

‥‥‥
: 陰陽の二気は本来相互に依存し, 相互に滋生的である。二者が調和していれば, 陰陽二気を暢のびと行らせ阻まれるところが无い, 陰陽が互助すれば, 胸中の大気運転は力があり, 大気は振奮する(活発になる)ので, たとえ水寒凝滞の邪があっても, 次第に消散してしまう。 失気と遺溺については, それぞれ陰陽が失調した結果により異なる。邪が実ならば正気を食べて減らすし, 正気が虚しておれば阻まれて温煦蒸発をしないので小便は自遺する。

 ※失気とはガス(屁)のことではない。

         『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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陰陽昇降1

地球温暖化なのか今年の異常気象には誰しもが辟易したことです。

この温暖であることがいかに生命に危険であるかを認識しなければならない。

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" 陰精所奉, 其人寿, 陽精所降, 其人夭。" 《素問・五常政大論》

: 陰精とは, 陰寒之気を謂う; 奉とは, 上奉, 上升之意である。
陽精とは, 陽熱之気を指し; 降とは, 下降, 下陥の意味である。

(陰精がある限り寿命は続き、陽気が無くなると寿命が尽きる。)

 ※陽気は陰精より生ずるので、陽気が無くなる時には陰精も無くなっている。

経文は地理環境と気候条件が, 人の寿命に影響する事を指している。
気候の寒冷な地区に在っては, 陽気は泄れにくく, 陰精は内に養われるので, 長寿になる。
気候の炎熱な地区に在っては, 陽気は泄れやすく, 陰精は消耗しやすいので, 寿命は短い。
これは古人の自然界に対する観察から, 人体との相互作用を科学に論断したものである。

           『歴代臨床格言選萃』 天津科学技術出版社 1987

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失汗衄血証

傷寒にかかって太陽病の時期に、汗をかく代わりに衄(鼻血)を出すと治るという条文がある。いつもここへ来ると釈然としない。なぜ衄が汗の代わりになるのか?

S.046中編,太陽病、脈浮緊、無汗、発熱、身疼痛、八九日不解、表証仍在、此当発其汗。服薬已微除、其人発煩目瞑、劇者必衂、衂乃解。所以然者、陽気重故也。麻黄湯主之。十六。,

許叔微の著作、『傷寒九十論』に「失汗衄血証 」として解説がある。

秦氏の子が傷寒にかかり、発熱、身疼、骨節疼痛、悪風无汗の状態だった。或る者が「病んでも服薬しないのは、中医 (実力中ぐらいの医師) を得るに等しい」といって服薬しない事を勧めたので自然に治るのを待っていた。やがて半月経っても病は治らず、やむを得ず医師を呼んだ。医師はかかってからの日数と脈から外証は無いからもう汗下法を行う時期ではないと云って、調気薬で正気を取り戻そうとした。
予が招かれて脈を診ると浮渋・緊大であり、此れは麻黄の証に間違いない。しかし恐らく汗を出させようとしても、もう汗は出ないで衄血が出るだろう。と云い終わらぬうちに衄血が出た。予は急ぎ麻黄湯を與え、次に犀角地黄湯を與えたら血は止り、汗をかいて愈えた。

病いは直ぐに伝変するものだ。汗をかかせるには病にかかってから四日以内に、下すなら四日以後にしなければならない。
素問に云わく「邪風の至るや疾きこと風雨の如し。故に善く治す者は皮毛を治す。其の次のものは肌膚を治す。其の次ぎのものは筋脈を治す。其の次のものは六腑を治す。其の次のものは五臓を治す。五臓を治す頃にはもう半死半生である。」 

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