グチ

瓜呂仁では効かない!

栝蒌(瓜呂・かろ・キカラスウリ)には、栝蒌皮・栝蒌仁・栝蒌根の三つの部位があり、また全果を栝楼実という。
栝蒌皮は「清肺化痰,寛胸利気」、栝蒌仁は「潤腸通便」、栝蒌根は「清熱生津、消膿排腫」の効能があるとされており、それぞれ異なっている。
栝楼実は未熟または完熟のものを使うが、効能は栝蒌皮と同じである。
小陥胸湯や瓜蒌薤白白酒湯に用いるのは栝楼実である。
さて、我が国の小陥胸湯や瓜蒌薤白白酒湯に用いられているのはどれでしょう?
殆どの書物やネットでは栝蒌仁です。
これでは処方の意味をなしません。
なぜこうなっているかと云うと、過去の生薬問屋の輸入品は瓜呂仁だけだったからです。
栝蒌皮や栝楼実は未だに特注でなければ入りません。
私も個人輸入で辛うじて入手しています。

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麻黄湯への危惧

《傷寒貫珠集・太陽篇上》に次のような解説があります。
"表実の人は,容易に邪を得ないが,もし得たとすると(大変なことになる),衛気を泄することが出来ず,反対に衛の陽気を実しさせてしまう,陽気が実しても,表は不通なので,熱を経に閉じこめる事になる,すると脈は緊となり身痛し,汗が出ないので煩躁する。"
と、これは麻黄湯や大青竜湯などの太陽表実証に対する解説です。
インフルエンザに麻黄湯を使うのがルールの一つになっていますが、私は危惧してなりません。
「表実」というからには容易には邪を寄せ付けません。
ちょっとやそっとでは外邪の侵入を許さない免疫力の強健な人です。
そういう人が一度 外邪に感染されると大変なことになります。
「表実」のバリケードを打ち破って入ってくるのですから、それは物凄い「寒邪」でしょう。
激しい「悪寒」に見舞われるはずです。
悪寒と発熱(衛陽の実)の両方があって太陽表実証が成立します。
そこで麻黄湯が登場するのならピッタリと証が合って、発汗が起こり解熱します。
このような証はそうざらには無いはずです。
しかし実際には麻黄湯でインフルエンザが治ったという報告が沢山あります。
悪寒がたいして無くて発熱だけがある人に、ただウィルスの型が合っているからという理由だけで麻黄湯が与えられているのではないでしょうか?
証を無視した選薬だと漢方とは云えません。
麻黄湯は発汗剤の中でも俊剤ですから、間違えると必ず副作用がある事を忘れてはなりません。

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蠲痺湯《楊氏家蔵方》

時あたかも「健康食品「ウコン」(ターメリック)には薬効はないことが判明」という論文が出ていますが、癌やアルツハイマー病で試すことからして間違っていませんか?
中医学では上半身の風湿痺(神経痛)の治療にしか使いませんよ。

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瓜呂(栝楼)について

生薬の瓜呂(キカラスウリ)には、瓜呂仁・瓜呂実(全瓜呂)・瓜呂皮・瓜呂根(天花粉)の四つがある。
我が国の漢方製剤で使われているのはこの内の瓜呂仁(小陥胸湯・柴陥湯に)と瓜呂根(柴胡桂枝干姜湯に)であり、瓜呂実・瓜呂皮は使われていない。
しかし中医学では四つともに各々の使い分けがされており、効能は次のようになっている。
祛痰作用‥‥‥瓜呂皮
瀉下作用‥‥‥瓜呂仁
冠血管拡張作用‥‥‥瓜呂皮>瓜呂仁>瓜呂実
ここで注意したいのは瓜呂皮が市販に無いこともあり、使われていない事です。
粘痰を切るのに瓜呂皮を使いたくともこれが無いので瓜呂仁で代用するという事になるのだがこれを指摘する人は居ない。
瓜呂実についても、この度は『中医臨床』v37-4 の丁元慶師の「帯状疱疹後神経痛の治療」の記事において大栝楼散の解説に次のような文を見つけた。
『重慶堂随筆』には、「栝楼実に潤燥開結・蕩熱滌痰の作用があることはよく知られているが、舒肝鬱・潤肝燥・平肝逆・緩肝急の作用において独壇場を誇ることはあまり知られていない」と記されている。清熱解毒・化痰通絡・柔肝緩急の作用があり、痰熱・湿熱・熱毒が籠って滞っている病症の治療に長けている。
こういう訳で瓜呂皮も瓜呂実も市場に流通することが待たれる。

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柴胡加竜骨牡蛎湯へのグチ

柴胡加竜骨牡蛎湯の原文、傷寒論[107条]は次の通りです。
「傷寒八九日,下之,胸満煩驚,小便不利,譫語,一身尽重,不可転側者,柴胡加竜骨牡蛎湯主之。」
中国科技術出版社の『傷寒論湯証論治』(2000年)によれば、次のように解説されています。

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センブリ(当薬)

ゲンノショウコに続いてまたしても売り上げを下げる記事を書かなければならない。
ドクダミ、ゲンノショウコと並んで有名な三大民間薬の一つ、センブリについてです。
一般には「胃潰瘍、胃痙攣、健胃、食欲不振、消化不良、腹痛」などに使われ、効き目がよく当たるので当薬(とうやく)の名もあります。
苦味健胃薬という日本式の表現があるためでしょうが、こういう表記は漢方的には混乱するものです。
いったい何時の頃から“胃薬”になったのでしょうか?
イー薬草・ドット・コム では次のような引用があります。

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ゲンノショウコ(現の証拠)

これって本当に効きますか?
優秀な整腸生薬であることから、イシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名を持ち、食中り、下痢、慢性の胃腸病、便秘に効き目があると云われている民間薬です。
よく薬局へ買いに来られるのは、胃腸が弱くて食欲が無いとか下痢気味だとかのお客さんです。
説明しようとしても頭から信じているのでこちらの言う事などは全然聞いてもらえません。
漢方を学んだ人なら、この民間薬信仰に疑いを持って反論を書いても良さそうなのに、今までに誰も書いてはいません。

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王不留行散ありますか?

本で読んだが「王不留行散があるか」との問い合わせがありました。
何に使うのですかと聞けば、(乳がんの)手術の後で使えば痛みが少ないと。
世間ではそんな情報が流れているのですね。
嬉しいですね、だけど単純に喜んでいいのか?
薬事法のせいで、薬局でも王不留行散は求めても得られない事になっていますから。

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芍薬甘草湯とこむらがえり

芍薬甘草湯は『傷寒論』では、傷寒という急性感染症の治療に当たって、誤治で発汗させてはいけない場合に発汗を行い、体液を消耗させて(誤汗傷津)筋肉の濡養を失って脚が引きつれる(脚攣急)という状態を救うために用いられた処方です。
通常ならば、たかが発汗ぐらいで脚が引きつれる事はありません。
だから誤汗傷津が起るのは、よくよくの場合なのです。
それは病人は発熱しているのに脈が沈細で、ただでさえ陰血(体液と血液)が不足していて発汗などという荒療治を採るなどもってのほかという時です。(汗は血より生じる)
この時の誤治は重大です。
その結果、脚攣急が起ったのですから病人の急迫は並大抵ではありません。
原因が単に体液不足だけなら現代では輸液という簡便な方法がありますが、基本に陰血両方の不足があるため誤汗傷津から容易に回復する事は望めません。
それを救うのが芍薬甘草湯(芍薬・甘草 各30g)となると、これは大変な救命の特効薬です。
さて現在わが国で使われている芍薬甘草湯といえば「芍薬・甘草 各3g」で、原方の1/10に過ぎません。
とても本来の芍薬甘草湯と同じように使う訳にはいきません。
それを効能の「脚が引きつれる」というのだけを引用して「こむらがえり」の特効薬として宣伝しているのが実情です。
また「こむらがえり」位いなら誰にでも起る日常事です。
体位の関係で簡単に起り、また直ぐに簡単に治ります。
薬など必要な病気ではありません。
それなのに「こむらがえりに芍薬甘草湯」となると、これは全くの商売のための戦略というほかはありません。
日常的な「こむらがえり」は病気ではなく単なる一過性の痙攣に過ぎませんから薬の対象にはなりません。
誰もそれを指摘しないのは何故でしょう?

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薬草漢方の終わり

二日続きのお通夜でうつったのか、私ものど風邪にやられました。
2014/03/08 夜 少しの寒気と咽痛があったが何も手当てをせず。
03/09 風寒鬱熱とみて、朝からこれを飲む。
六味湯2(荊芥・防風・貫衆・金銀花4 陳皮・白僵蚕・桔梗3 生甘草・薄荷2)29
夜には咽痛はかなり緩和されたが背中の寒気はまだあり蓄煖に背中をくっつけている。
代わって鼻水が出始める。
夜中に鼻水で仰向けになったままでしか寝られない。
最初から「六味湯2+黄耆・白朮5」を飲むべきだった。
03/10 その代わりに中葯の「辛岑顆粒」を飲み始める。
(黄耆8 黄岑・荊芥・白止・桂枝・蒼耳子・石菖蒲・白朮・防風3 細辛1)33
03/11 大分鼻水は少なくなり、代わって無痰の咳嗽が出始めた。
六味湯加味を飲み始める。
(桑葉・白芍5 荊芥・防風・桔梗・白僵蚕・杏仁・前胡・百部・牛蒡子3 蝉衣・甘草2)40
お陰で症状は軽快した。
振り返ると「六味湯」の証が中心にあり、それを少しずつ加減して今回の風邪は卒業しそうだ。
それで思うのですが、私は手元に原料は何でも持っているから六味湯は加減でも何でも煎じ薬で簡単に作れるけれど、一般の人はこれを求めても手に入れることが出来ない。
六味湯の代用に出来るエキス製剤は何かあるだろうか?
ちょっと見当たらない。
葛根湯、小青竜湯、柴胡桂枝湯、参蘇飲、銀翹散などのどれもピッタリ来るものはない。
薬草を処方する医者も稀有である。
それでは六味湯の処方は見つけても手に入れることが出来ない。
中国へ行って中医師にでも診てもらわないことには不可能だ。
薬事法の改正以前には街の薬局で簡単に作ってもらえたのに‥‥今はそれが出来ない。
私が再開しようとしている薬局でも作ることは出来ない。
あり得ない事だが、あとはどこか奇特な医師が処方を切ってくれるのを待つ以外にない。
薬草漢方はこうして終わっていく。

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