グチ

『方伎雑誌』尾台榕堂から

「本書は藤平 健先生が絶賛した、尾台榕堂の最晩年の著作で、医療哲学・治療経験の集大成されたもの」と云われているものです。
尾台榕堂は「安政3年(1856)頃には浅田宗伯と並んで、江戸の二大家として名医の評判が高かった。」いわば日本式漢方・古方派の代表の一人です。
著作に『類聚方広義』『重校薬徴』などがあります。

この度、このように評価の高い名医の『方伎雑誌』を読みまして、“はてな、違うのじゃない?”と思ったので、正直なところを発表します。

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麻黄附子細辛湯?

花粉症やアレルギー性鼻炎や感冒に麻黄附子細辛湯を第一選択として使う例が後を絶ちません。これは本来の漢方からは懸け離れた使用の仕方です。
このまま放置しておくと漢方を正しく普及したり発展する上で妨げになるので敢えて苦言を呈することにしました。

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朱進忠の難病奇治 失眠

かつて「柴胡加竜骨牡蛎湯へのグチ」に本剤が安易に使用されていることをグチった事がある。
本剤が並大抵の処方ではない事を云いたくて再度にわたりグチることになります。

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瓜呂仁では効かない!

栝蒌(瓜呂・かろ・キカラスウリ)には、栝蒌皮・栝蒌仁・栝蒌根の三つの部位があり、また全果を栝楼実という。
栝蒌皮は「清肺化痰,寛胸利気」、栝蒌仁は「潤腸通便」、栝蒌根は「清熱生津、消膿排腫」の効能があるとされており、それぞれ異なっている。
栝楼実は未熟または完熟のものを使うが、効能は栝蒌皮と同じである。
小陥胸湯や瓜蒌薤白白酒湯に用いるのは栝楼実である。
さて、我が国の小陥胸湯や瓜蒌薤白白酒湯に用いられているのはどれでしょう?
殆どの書物やネットでは栝蒌仁です。
これでは処方の意味をなしません。
なぜこうなっているかと云うと、過去の生薬問屋の輸入品は瓜呂仁だけだったからです。
栝蒌皮や栝楼実は未だに特注でなければ入りません。
私も個人輸入で辛うじて入手しています。

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麻黄湯への危惧

《傷寒貫珠集・太陽篇上》に次のような解説があります。
"表実の人は,容易に邪を得ないが,もし得たとすると(大変なことになる),衛気を泄することが出来ず,反対に衛の陽気を実しさせてしまう,陽気が実しても,表は不通なので,熱を経に閉じこめる事になる,すると脈は緊となり身痛し,汗が出ないので煩躁する。"
と、これは麻黄湯や大青竜湯などの太陽表実証に対する解説です。
インフルエンザに麻黄湯を使うのがルールの一つになっていますが、私は危惧してなりません。
「表実」というからには容易には邪を寄せ付けません。
ちょっとやそっとでは外邪の侵入を許さない免疫力の強健な人です。
そういう人が一度 外邪に感染されると大変なことになります。
「表実」のバリケードを打ち破って入ってくるのですから、それは物凄い「寒邪」でしょう。
激しい「悪寒」に見舞われるはずです。
悪寒と発熱(衛陽の実)の両方があって太陽表実証が成立します。
そこで麻黄湯が登場するのならピッタリと証が合って、発汗が起こり解熱します。
このような証はそうざらには無いはずです。
しかし実際には麻黄湯でインフルエンザが治ったという報告が沢山あります。
悪寒がたいして無くて発熱だけがある人に、ただウィルスの型が合っているからという理由だけで麻黄湯が与えられているのではないでしょうか?
証を無視した選薬だと漢方とは云えません。
麻黄湯は発汗剤の中でも俊剤ですから、間違えると必ず副作用がある事を忘れてはなりません。

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蠲痺湯《楊氏家蔵方》

時あたかも「健康食品「ウコン」(ターメリック)には薬効はないことが判明」という論文が出ていますが、癌やアルツハイマー病で試すことからして間違っていませんか?
中医学では上半身の風湿痺(神経痛)の治療にしか使いませんよ。

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瓜呂(栝楼)について

生薬の瓜呂(キカラスウリ)には、瓜呂仁・瓜呂実(全瓜呂)・瓜呂皮・瓜呂根(天花粉)の四つがある。
我が国の漢方製剤で使われているのはこの内の瓜呂仁(小陥胸湯・柴陥湯に)と瓜呂根(柴胡桂枝干姜湯に)であり、瓜呂実・瓜呂皮は使われていない。
しかし中医学では四つともに各々の使い分けがされており、効能は次のようになっている。
祛痰作用‥‥‥瓜呂皮
瀉下作用‥‥‥瓜呂仁
冠血管拡張作用‥‥‥瓜呂皮>瓜呂仁>瓜呂実
ここで注意したいのは瓜呂皮が市販に無いこともあり、使われていない事です。
粘痰を切るのに瓜呂皮を使いたくともこれが無いので瓜呂仁で代用するという事になるのだがこれを指摘する人は居ない。
瓜呂実についても、この度は『中医臨床』v37-4 の丁元慶師の「帯状疱疹後神経痛の治療」の記事において大栝楼散の解説に次のような文を見つけた。
『重慶堂随筆』には、「栝楼実に潤燥開結・蕩熱滌痰の作用があることはよく知られているが、舒肝鬱・潤肝燥・平肝逆・緩肝急の作用において独壇場を誇ることはあまり知られていない」と記されている。清熱解毒・化痰通絡・柔肝緩急の作用があり、痰熱・湿熱・熱毒が籠って滞っている病症の治療に長けている。
こういう訳で瓜呂皮も瓜呂実も市場に流通することが待たれる。

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柴胡加竜骨牡蛎湯へのグチ

柴胡加竜骨牡蛎湯の原文、傷寒論[107条]は次の通りです。
「傷寒八九日,下之,胸満煩驚,小便不利,譫語,一身尽重,不可転側者,柴胡加竜骨牡蛎湯主之。」
中国科技術出版社の『傷寒論湯証論治』(2000年)によれば、次のように解説されています。

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センブリ(当薬)

ゲンノショウコに続いてまたしても売り上げを下げる記事を書かなければならない。
ドクダミ、ゲンノショウコと並んで有名な三大民間薬の一つ、センブリについてです。
一般には「胃潰瘍、胃痙攣、健胃、食欲不振、消化不良、腹痛」などに使われ、効き目がよく当たるので当薬(とうやく)の名もあります。
苦味健胃薬という日本式の表現があるためでしょうが、こういう表記は漢方的には混乱するものです。
いったい何時の頃から“胃薬”になったのでしょうか?
イー薬草・ドット・コム では次のような引用があります。

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ゲンノショウコ(現の証拠)

これって本当に効きますか?
優秀な整腸生薬であることから、イシャイラズ(医者いらず)、タチマチグサ(たちまち草)などの異名を持ち、食中り、下痢、慢性の胃腸病、便秘に効き目があると云われている民間薬です。
よく薬局へ買いに来られるのは、胃腸が弱くて食欲が無いとか下痢気味だとかのお客さんです。
説明しようとしても頭から信じているのでこちらの言う事などは全然聞いてもらえません。
漢方を学んだ人なら、この民間薬信仰に疑いを持って反論を書いても良さそうなのに、今までに誰も書いてはいません。

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